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Last update 2007-01-14


ALMAに関するご質問にお答えします。


Q1: ALMAって何?

Q1.1: どういう装置なの?
    A1.1: ALMAは64台の直径12mの高精度アンテナ群や「アタカマコンパクトアレイ(ACA)」と呼ばれる16台の高精度アンテナ群(直径12mが4台と直径7mが12台)を組み合わせる干渉計方式の巨大なハイテク電波望遠鏡で、日米欧が共同でチリ・アンデスの標高5000mの高原に建設しています。アンテナの間隔を最大18.5kmまで広げることで、直径18.5kmの電波望遠鏡に相当する解像力を得ることができます。この解像力は、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡の10倍で、大阪に落ちている1円玉を東京から見分けられる性能に相当します。ミリ波やサブミリ波という、電波と遠赤外線の中間の電磁波を観測することで、光では見えない「暗黒」の宇宙を観測します。総建設予算は約1000億円相当で、2012年から本格運用を開始する予定です。
Q1.2: 「ALMA」ってどういう意味?
    A1.2: アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計 (Atacama Large Millimeter/submillimeter Array) の略で、「アルマ」と発音します。「Alma」は、建設予定地であるチリの公用語のスペイン語で「こころ」とか「たましい」とか「いとしい人」とかいう意味も持っています。
Q1.3: ミリ波・サブミリ波って何?
    A1.3: 電波の中では最も波長が短いもののことで、波長が10mmから1mm (周波数30GHz-300GHz) のものを「ミリ波」と呼び、波長が1mmから0.1mm (周波数300GHz-3THz) のものを「サブミリ波」と呼んでいます。AMラジオの電波の波長が300m程度でFMでも波長4m程度なのに対して遠赤外線は波長が0.05mm程度ですから、ミリ波・サブミリ波は遠赤外線に近い波長帯です。宇宙空間にある非常に冷たい(-250℃程度)星間物質からは光や近赤外線は放射されませんが、ミリ波やサブミリ波でならばサーモグラフィの要領で検出することができます。太陽系の天体も反射ではなく放射によって検出できます。サブミリ波では、技術的な困難と、空気中の水蒸気に吸収されやすいために、本格的な観測が進んでいませんでした。
Q1.4: なぜこんなにたくさんのアンテナがいるの?
    A1.4: 天体からの弱い電波を集めるには大きくて高精度なアンテナが必要ですが、自重や熱、風などによる変形のために、直径50m程度が技術的な限界です。また、遠方の天体の構造を詳しく調べるには1kmを超えるような大きさの電波望遠鏡が必要ですが、これをひとつのアンテナで実現することは不可能です。そこでALMAでは、比較的小さいが高精度なアンテナをたくさん組み合わせることで、直径が最大で18.5kmに相当するアンテナを合成し、同時に直径100mのアンテナに匹敵する集光面積をかせぎます。このような電波望遠鏡を「電波干渉計」といいます。電波干渉計では、アンテナを狭い範囲内に集めれば高感度の観測ができ、広い範囲に展開すれば高解像度の観測ができるので、目的に合わせて80台のアンテナを移動させることで、カメラのズームレンズに似たさまざまな使い方をすることができます。
Q1.5: LMSAとかいう計画はどうなったの?
    A1.5: 国立天文台が構想していた「大型ミリ波サブミリ波干渉計 (LMSA)」計画が、アメリカで構想されていた「ミリ波干渉計 (MMA)」計画やヨーロッパで構想されていた「大型南天干渉計 (LSA)」計画と融合したものがALMA計画です。日本がLMSA計画で重視していたサブミリ波観測や0.01秒角の解像力、高い分光性能などは、全てALMA計画に発展的に継承されています。
Q1.6: 競合する計画はあるの?
    A1.6: ありません。すばる望遠鏡を含む多数の8m級光学望遠鏡が各地に完成してしのぎを削っているのとは対照的に、ALMAは今後数十年にわたってミリ波サブミリ波帯で計画されている唯一の大型観測装置です。中規模な計画としては、SAO(米)とASIAA(台湾)がハワイで運用中の6mアンテナ8素子からなる「サブミリ波干渉計 (SMA)」や、ESA(欧)の口径3.5mサブミリ波遠赤外線天文衛星Herschel計画などがあります。

Q2: 何が見えるの?

Q2.1: 何が見えるの? Q2.2: どのくらいよく見えるの?
    A2.2: ALMAの最高の解像力は0.01秒角 (1秒角は1度の1/3600) 程度ですので、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡に比べてもさらに10倍細かな構造を見分けることができます。これは驚異的な性能で、例えば400光年離れたおうし座暗黒雲の中に別の原始太陽系があった場合、地球軌道のサイズの構造を見分けることができ、銀河ならば宇宙のどこにあってもその形を見分けることができます。また、木星の距離ではわずか40km程度の構造を見分けることができます。身近なたとえでいうと、大阪に落ちている1円玉を東京から見分けられる性能です。ALMAの視野は20秒角程度ですから、1視野あたり2000×2000画素程度の画像が得られることになります。
Q2.3: すばる望遠鏡との違いは?
    A2.3: すばる望遠鏡などの光学望遠鏡では星や惑星、それらの集合体である銀河など、宇宙の骨格が見えるのに対して、ALMAではそれらを形作るもととなる星間物質が見えるので、宇宙がどのように形作られてきたのかが分かります。例えば、すばる望遠鏡では巨大惑星を探査するのに対して、ALMAではどうやって惑星が生まれたのかを調べることによって太陽系の成り立ちや宇宙におけるその特殊性/普遍性に迫ることができます。
Q2.4: 野辺山の電波望遠鏡との違いは?
    A2.4: 野辺山の電波望遠鏡は、完成後20年以上を経た今でもミリ波帯で世界のトップクラスで、巨大ブラックホールの発見や原始惑星系円盤の発見、原始銀河候補天体の発見など、科学史に残る成果を残してきました。しかしながら、これらの研究をさらにおしすすめるためには、サブミリ波天文学の開拓と、より高い解像度と感度の実現が必要です。ALMAは野辺山の装置の性能をけたちがいに上回る性能を実現し、野辺山でつちかった研究の流れを発展させることができます。野辺山の望遠鏡は、ALMAで観測できない天の北極付近にある天体の観測などに利用されます。
Q2.5: 私たちになじみの深い北天の天体は見えるの?
    A2.5: ALMAの建設予定地は南回帰線直下にありますから、南天だけでなく北天の天体についてもかなりの部分をカバーすることができます。すばる望遠鏡とのオーバーラップは60% (仰角30度以上の場合) で、連携ももちろん可能です。

Q3: どこに作るの?

Q3.1: どこに作るの?
    A3.1: 南米のチリ共和国の北部にあるアタカマ砂漠の、ボリビアやアルゼンチンとの国境に近いアンデス山脈の標高5000m程度の高原に作ります。年間降水量は100mm以下で、理想的な観測条件を備えています。日本から見てチリは地球のほぼ真裏なので、日本から現地までは飛行機で乗り継ぎ込みで1日半かかりますが、それでもヒマラヤなどに比べるとアクセスは楽です。山麓施設は標高2900mのところにあり、最寄の村(サンペドロ・デ・アタカマ)から望遠鏡の設置予定場所までは舗装道路があり、乗用車で1時間程度でアクセスできます。
Q3.2: なぜハワイでなくチリなの?
    A3.2: これまでの調査で、ミリ波やサブミリ波の観測のためにはハワイよりもチリの候補地の方が観測条件がよいことが分かったからです。土地も広く平坦で、大規模な干渉計の建設に適した立地です。また、ホスト国であるチリは受け入れに大変協力的で、これまでに多数の望遠鏡を受け入れてきた実績を持っています。銀河系の中心や大小マゼラン雲などの重要でほかにない天体が比較的南天に多いことも考慮されました。
Q3.3: チリまで行って観測するのは大変なのでは?
    A3.3: 原則として観測者がチリに渡航することはなく、日本から観測の指示を出し、日本でデータ解析を行います。
Q3.4: 治安は大丈夫?
    A3.4: チリは南米の中でも特に治安がよく、生活水準や教育水準も高い国です。国民も人なつこく温厚な人が多く、天文学に関する理解もあります。

Q4: いつできるの?

Q4.1: いつできるの?
    A4.1: 現在急ピッチで建設を進めており、アンテナが一部揃ったところで部分運用を開始し、2012年から本格運用を開始する予定です。
Q4.2: なぜそんなに急ぐ必要があるの?
    A4.2: すばる望遠鏡をはじめとする8m級の光学赤外線望遠鏡が続々と動き始め、これと比較できるだけの解像度と感度を持つ電波望遠鏡がないことが研究のネックとなりつつあります。そのため、日本・アメリカ・ヨーロッパのそれぞれの地域で天文学者たちがALMAを第一優先の大型望遠鏡計画として推薦してきたのです。
Q4.3: 準備状況は?
    A4.3: アンテナに関しては日米欧が開発した3台の直径12mの試作機の評価試験をアメリカ・ニューメキシコ州で行ったほか、その他についても要素技術の見通しをほぼ得ました。 現在は日米欧それぞれが担当する装置の開発と製造を進めています。

Q5: 誰が作るの?

Q5.1: 誰が作るの?
    A5.1: 国立天文台を窓口とする日本・台湾と、アメリカ国立電波天文台を窓口とするアメリカ・カナダの北米連合、ヨーロッパ南天天文台を窓口とするヨーロッパ12か国(イギリス、イタリア、オランダ、スイス、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、フィンランド、フランス、ベルギー、ポルトガルのヨーロッパ南天天文台加盟11か国とスペイン)からなるヨーロッパ連合の3者が合同で実現します。チリは土地を無償で提供するほか、免税などで便宜をはかることで参加します。日本からは国立天文台だけでなく大学等からも研究者・技術者が計画に参加しています。
Q5.2: パートナーのなかでの日本の貢献が大きいのはなぜなの?
    A5.2: 当初計画として日本・アメリカ・ヨーロッパが独立に同規模の計画を構想していたという経緯があります。その後カナダがアメリカの10%を分担する形で参加したものの、北米連合の主体はやはりアメリカ国立電波天文台だといえます。ヨーロッパは推進母体そのものが多国籍ですが、機関としてはヨーロッパ南天天文台が推進しています。日本はミリ波天文学の分野では研究・開発ともに世界のトップレベルにあり、装置を実現する技術開発チームも、それを用いて観測する研究チームも、米欧に引けを取らない実績を持っているといえます。北米側の推進母体であるアメリカ国立電波天文台はミリ波の観測施設を現在持っておらず、ヨーロッパ側の推進母体のヨーロッパ南天天文台も主として光学観測のための観測所だという状況を考えると、野辺山でミリ波干渉計の実績を持つ国立天文台は、計画に推進において非常に重要な位置付けにあるといえます。最近になって台湾が国立天文台を窓口として参加し、さらにアジア・オセアニアの諸国との国際協力に向けた協力協定も整いつつあります。
Q5.3: 国際協力のメリットは?
    A5.3: 個別に建設する場合に比べてはるかに高い観測効率をそれぞれのパートナーが得ることができます。また、日米欧がそれぞれ得意とする部分を分担することで、より高い性能を追求することができます。インフラの共有などで若干のコスト減もありました。
Q5.4: 日本は何を担当するの?
    A5.4: 「アタカマコンパクトアレイ(ACA)」と呼ばれる7mアンテナ12台と12mアンテナ4台からなる高精度の干渉計システムと、サブミリ波を中心とする3種類の受信機などを担当します。共通インフラと運用経費の一部にも貢献します。

Q6: 誰が使うの?

Q6.1: 誰が使うの?
    A6.1: ALMAの本格運用開始は2012年を予定しており、その後も50年程度運用されますから、利用者は現在小中学生の人たちを中心とする若い世代となります。ALMAの観測時間は10%をホスト国であるチリに割り当て、残りの90%をパートナー間で貢献に応じて配分します。研究課題は原則として全世界の研究者に対して公募しますが、当然のことながら出資国の研究者に対する配慮があります。観測プログラムの優先順位については国際的な審査委員会で決定される予定です。
Q6.2: ユーザー層は厚いの?
    A6.2: 日米欧それぞれにおいてALMA計画は最優先の大型望遠鏡計画として位置づけられており、研究者の期待は大きいです。野辺山宇宙電波観測所ではすでに年間100課題程度の利用実績がありますが、日本の天文学者数の伸び率は上位5か国の中でも最高で、完成時にはさらに利用者数が充実すると見込まれます。また、ALMAでは、ハッブル望遠鏡と同様に、天文学分野の研究者だけでなく惑星科学や物理学、化学などの近隣分野の研究者も対象となります。野辺山でも実績があるように、セミプロ級のアマチュアが使うことも大いにありえます。

Q7: いくらかかるの?

Q7.1: いくらかかるの?
    A7.1: 計画全体にかかる費用としては1000億円程度を見込んでいます。日本は超高精度アンテナ16台からなるACAシステムと呼ばれる高精度干渉計と、3つの受信機バンド等の分担を計画しており、これに国内の研究者用の国内施設を含めた総額300億円弱が日本の建設費となります。国民一人当たり年間約30円をこの望遠鏡の建設のために使うことになります。
Q7.2: 何の役に立つの?
    A7.2: われわれの住む地球や太陽系、銀河系、そして生命の起源を探ることで得られる科学的な成果と、ハイテク技術の実現とによって、青少年を含む国民の皆様に夢とロマンをお届けします。理科離れを食い止めるのにも役立つかもしれません。さらに、ALMA計画に関連して開発・導入される新技術は、テラヘルツ技術、情報通信、信号処理、マイクロマシニングなどに密接に関連しており、産業界および国民の生活への大きな波及効果が期待されます。ALMAのような大型計画には、産業界が独自のリスクではすぐには実用化開発を行わないような最先端技術を進める求心力があり、それは野辺山の電波望遠鏡に関連して開発されたデバイスが今ではBSコンバータなどに広く利用されていることなどからも明らかです。
Q7.3: なぜ日本がやらなければならなかったの?
    A7.3: 日本が主体的に関わらないプロジェクトに日本国民が夢とロマンを共有できるでしょうか? また、日本はミリ波天文学の研究・技術で世界のトップレベルにあり、この国際的プロジェクトでも主導的な役割を担うことができます。特に、技術的に困難なサブミリ波観測の実現には日本の高い技術力が期待されています。一方、日本の天文学者にとっても、これまで培ってきた先端的な研究をALMAで飛躍的に発展することができます。
Q7.4: お金だけ払うのではだめだったの?
    A7.4: 文化は自ら担ってこそ意義がありますから、お金を出せばいいというものではないと考えます。日本もそろそろ基礎科学の分野でも応分の実質的な貢献をすべきです。日本のALMA以降の天文学のさらなる発展のための人材育成を考えても、全体計画の立案や技術開発、研究計画の立案に日本が主体的な参加をすることは極めて重要で、米欧からも参加が期待されています。

Q8: その他いろいろ教えて!

Q8.1: 見学はできるの?
    A8.1: 今は現地にはほとんど何もありませんが、完成時にはビジターセンターを作る方向で検討しています。バーチャルツアーも用意してありますのでご覧ください。
Q8.2: 直接ALMAの話は聞けないの?
    A8.2: 講演会や特別公開などを不定期に開催していますので是非お越しください。講演会の日程はALMAのホームページにも掲載されますし、メーリングリストに登録いただければ進捗状況や講演会日程等が季節ごとにメールにて配信されます。
Q8.3: どうしても聞きたいことがあるのだけれど、どこにコンタクトすればいいの?
    A8.3: 試しにalma-info at nro.nao.ac.jpにメールを出せば何かいいことがあるかもしれません。質問のページもご利用ください。
Q8.4: 私たち一般市民に手伝えることはないの?
    A8.4: ありがとうございます。計画に対する応援のメッセージをいただけると心の糧になります。

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