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惑星系の前駆天体の構造を解明

1995年、MayorとQuelozらによって初めて太陽系外の惑星が発見されて以降、数多くの惑星や惑星系が発見され、我々の太陽系のような惑星系は宇宙で普遍的な存在である事が分かってきました。これまでの研究で我々の地球や木星などの惑星は原始惑星系円盤と呼ばれるガスとチリでできた円盤形状の天体の中で形成されると考えられています。従って、惑星や惑星系がどのように形成され、現在見られる我々の太陽系がいかに形成されたかを理解するには、この母体となる原始惑星系円盤を詳しく調べることが大変重要です。

国立天文台の秋山永治氏らの研究グループでは野辺山45m電波望遠鏡と南米チリにあるAtacama Submillimeter Telescope Experiment (ASTE) 10m電波望遠鏡を用いて、おうし座にある太陽の約2倍の質量を持つ天体MWC480に付随する原始惑星系円盤を観測し、ガスの密度分布と温度分布の構造を明らかにしました。複数の理論計算で観測結果を再現させたところ、中心星の光が直接当たる円盤表面付近では高温、光が届きにくい円盤内部では低温となり、厚さ方向に温度勾配があることが分かりました。また、従来考えられていたより遙か遠くまでガスが薄く広がっていることも分かりました。恐らく円盤外縁部では円盤内縁部からガスやチリがゆっくりと移動し、やがて宇宙空間に散逸して現在見られる我々の太陽系のようなガスが晴れた惑星系が形成されていくと思われます。

国内にある電波望遠鏡と異なり、ASTE望遠鏡はサブミリ波という種類の電波を受信します。このサブミリ波での観測は原始惑星系円盤のように、比較的濃く高温な状態にあるガスをより効率的に捉えることができます。その結果、これまで検出が困難だった星からより遠方に広がったガスまで捉えることに成功しました。現在建設途中のAtacama Large Millimeter/submillimeter Array (ALMA)望遠鏡 によって、他の天体でもこのような円盤構造が示唆されており、先駆的な役割を果たしています。

出版論文: Akiyama et al. (2013) PASJ, 65, 123 参照

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図: 各図上段の黒の曲線が今回の観測で検出された円盤からの放射。緑の曲線が理論計算の結果。各図下段は上段の観測結果(黒の曲線)と理論計算結果(緑の曲線)の差をそれぞれ表したもの。差が小さいほど観測結果と理論結果が一致していることを表します。
(a): CO(J=1-0)、(b): CO(J=3-2)、(c): 13CO(J=1-0)、(d): C18O(J=1-0)。COは低い密度、C18Oは高い密度、13COはその中間の密度領域からの放射を捉えたものです。(J=1-0)や(J=3-2)は温度に関する情報を表し、一般的に数値が大きいほど高温領域を反映しています。これらの観測結果を組み合わせて解析することで温度や密度分布を算出することができます。