1. はじめに
この文書では、野辺山ミリ波干渉計(NMA)を用いて2007年12月〜2008年3月に観測を行う場合の装置の状況・利用可能な機能についてまとめています。
昨年度までとの違いや注意が必要な点は以下のとおりです。
| Period | Array name |
|---|---|
| 2007年12月から2008年2月まで | C array |
| 2008年2月から3月末まで | D array |
NMA antenna configurations summary
Typical spatial resolution (FWHP of synthesized beam)
2.2. アンテナ配列と空間分解能
2つの配列(D配列および
C配列)による観測を行うことができます。
最短基線長は13m、また、C、D配列での最長基線長はそれぞれ163m、82mです。
Configuration
A B C D E F 最大基線長 最小基線長 D 15 24 16 17 25 12 82 m 13 m C 26 24 16 10 23 14 163 m 26 m 
NMA antenna stations
2.6mm(115GHz)で観測する場合、D配列とC配列との観測をあわせて得られる
空間分解能(合成ビームの大きさ)は典型的に約4秒です。
D配列およびC配列を使用し、積分時間をおよそ均等に割り振った場合、
および、D、C、AB配列の3配列を使用し、積分時間をそれぞれ均等に割り振った場合に
達成される、典型的な空間分解能(合成ビーム単軸方向のFWHM)を
次表に示します。(あくまでも目安です)。
Freuqncy C array + D array 89 GHz 5" - 6" 115 GHz 4" - 5" 147 GHz 3" - 4"
視野はおおよそ1.1×(λ/D)〜 59" x (115/観測周波数[GHz]) で表されます。
註:1999-2000期の測定による
周波数
88 GHz
110 GHz
147 GHz
波長
3.4 mm
2.7 mm
2.0 mm
10m鏡 primary beam
77''
62''
46''
3. フロントエンド(受信機)
観測可能な周波数範囲と冬季晴天時における典型的なシステム雑音温度は
下記のとおりです。
これらの値は、天候・季節により、大きく悪化することがあります。
| 受信機名 | S100 | S150 | |
|---|---|---|---|
| 受信機バンド | 3 mm帯 | 2 mm帯 | |
| 観測可能周波数範囲[*] | 85 - 116 GHz | 126 - 152 GHz | |
| 観測可能波長範囲[*] | 3.5 - 2.6 mm | 2.4 - 2.0 mm | |
| 周波数 | 85-110 GHz | 115 GHz | 147 GHz |
| 波長 | 3.4 - 2.7 mm | 2.6 mm | 2.0 mm |
| 受信機雑音温度[#] TRXin DSB | 20 - 60 K | 30 - 80 K | |
| システム雑音温度[%] TSYSin SSB | 200 - 500 K | 400 - 800 K | 500 - 1000 K |
| Correlator | Bandwidth | channel/baseline | resolution |
|---|---|---|---|
| UWBC | 1024 MHz | 128 CH | 8.0 MHz |
| 512 MHz | 256 CH | 2.0 MHz | |
| 256 MHz | 256 CH | 1.0 MHz | |
| New-FX | 32 MHz | 1024 CH | 31.25 kHz |
4.2. 周波数分解能・速度分解能
周波数/速度帯域幅と周波数/速度分解能
UWBCについてはHanning windowを使用した場合の
実効値
| Correlator Bandwidth/resolution |
88 GHz | 110 GHz | 147 GHz |
|---|---|---|---|
| 3.4 mm | 2.7 mm | 2.0 mm | |
| UWBC 1024 MHz | 3482 km/s | 2765 km/s | 2048 km/s |
| UWBC 512 MHz | 1741 km/s | 1382 km/s | 1024 km/s |
| UWBC 256 MHz | 872 km/s | 698 km/s | 522 km/s |
| FX 32 MHz | 109 km/s | 86 km/s | 64 km/s |
| UWBC 1024 MHz mode (16 MHz resolution) |
54.4 km/s | 43.2 km/s | 32.0 km/s |
| UWBC 512 MHz mode (4 MHz resolution) |
13.6 km/s | 10.8 km/s | 8.0 km/s |
| UWBC 256 MHz mode (2 MHz resolution) |
6.8 km/s | 5.5 km/s | 4.1 km/s |
| FX 31.25 kHz/channel | 0.106 km/s | 0.0844 km/s | 0.0625 km/s |
分光器の周波数帯域幅とこれに対応するドップラー速度幅の関係は Δf/fobs = Δv/cです。 たとえば、UWBCを1024MHz幅128channel分光モードで使用する場合には、 全体でカバーできる周波数帯域幅(1024MHz)は、ドップラー速度幅 にして147GHzでは2088km/s、115GHzで2669km/s、89GHzでは3449km/s に相当します。
一方、UWBCを1024MHzモードで使用したときの1 channelあたりの周波数
帯域幅は8MHzであり、これはドップラー速度幅としては89GHzでは
26.9km/sに相当します。
ただし、UWBCの場合、「有限の帯域幅でFourier変換をしているために
発生するスペクトルのside lobe」を軽減するために、現在デフォルトで
window functionとしてHanning windowをon-lineで使用しています。
この場合『実効的な周波数分解能(または速度分解能)』は、1 channel
あたりの周波数帯域幅(または対応するドップラー速度幅)の2倍になります。
上の例では、(1 channelあたりの周波数帯域幅は8MHzですが)
『実効的な周波数分解能』は16MHzであり、
得られる速度分解能は89GHzでは53.8 km/sということになります。
FXではデフォルトでwindow functionを使用していないので、 1 channnelの周波数帯域幅(31.25 kHz)が周波数分解能に、 これに対応するドップラー速度幅(88 GHzでは0.11 km/s)が 速度分解能に、それぞれ対応しています。
Window functionについて:Uniform window(窓関数なし)の場合、 周波数方向にpeak levelが20%を越えるside lobeが現れます (masarなど非常に強いsourceの分光観測を行う場合には問題と なることがあります)。 一方、Hanning windowを使用してデータを取得すると、 周波数方向に現れるside lobeのpeak levelは3%以下にすることができます (現在、これがデフォルト設定になっています)。 ただし、そのかわりに周波数分解能が2倍、また感度も若干、低下します。 なお、この効果は、FX相関器ではほとんど問題にはなりません。
| Correlator | Window function | Half-amplitude width (unit = B/N) |
Peak sidelobe |
|---|---|---|---|
| UWBC | Uniform (no window) | 1.21 | 0.22 |
| Hanning | 2.00 | 0.027 | |
| Blackman | 2.30 | 0.0012 | |
| New-FX | Uniform (no window) | 1.74 | 0.048 |
現在、window関数はUniform、Hanning, Blackmanの中から選択できるように なっています。初期設定ではHanning windowが使用されます。 なお、Hanning以外のwindow関数(Uniform = window関数なし、 あるいはBlackman)を利用したい方は、 あらかじめ関係者にご相談ください。
ただし、kBはBoltzmann定数、
ηqは量子化効率、
Bは周波数幅、
tintegは積分時間(on-source integration time)です。
これに具体的な数値を代入すると、10m-10m基線の場合では、
となります。
Fringe detectability of 10m-10m baselines
Cは同時に得られる相関数、
Bは帯域幅、tintegは目的天体の積分時間です。
たとえば、NMAによる110 GHz帯での観測を想定した
場合の具体的な数値として、Tsys=650K、
Ap=π(5)2m2、
ηa=0.6、ηq=0.85、
C=15、B=8MHz、tinteg= 4 hoursを代入すると、
すなわち得られる画像の1σノイズレベルは約24 mJy/beamとなります。
各観測バンドにおける、具体的な
計算結果を、次のTableに示します。
Imaging Sensitivity of the NMA
flux density(S)と輝度温度(Tb)の関係は、
次式で与えられます。
λは観測波長、Ωbeamは合成ビームの立体角です。
です。
占有期間は、原則として、「観測日の属する観測シーズン」が終了した後、
暦年で2年後の6月30日までとなっています。たとえば、2006年12月と
2007年3月にそれぞれC配列とD配列で取得されたvisibilityデータは、
いずれも2009年の6月30日に占有期間が終了し、
翌7月1日をもって公開されることになります。
このほか、学位論文のためのデータや、モニター観測の場合など、
いくつか例外規定もありますので、詳細については、
観測データのアーカイブおよび公開について
をご確認ください。
また、NROデータアーカイブ
に登録された野辺山ミリ波干渉計のデータを利用して
成果を得、それを発表・出版する際には、次の記述をつけてください。
5. 感度
干渉計による「感度」を考える場合、
2つの要素があります。
1つは、「フリンジ検出感度」で、
reference calibratorとしてどれほど暗いものまで
使えるか、また、self-calibrationは
可能か、など、観測の「戦略」を検討する1つの材料となります。
2つ目は「イメージング感度」で、
天体の画像を得る際、それくらい積分するべきかを
決める際に必要なものとなります。5.1. フリンジ検出感度


周波数
85-110 GHz
115 GHz
147 GHz
波長
3.4 - 2.7 mm
2.6 mm
2.0 mm
10m鏡 物理的開口面積
78.5 m2
10m鏡 開口能率[*]
0.65
(0.60)
0.50
Tsys in SSB
400 K
600 K
800 K
10m-10m基線 フリンジ検出感度
1GHz幅、16秒積分、5シグマ0.8 Jy
1.2 Jy
1.8 Jy
5.2. イメージング感度


周波数
85-110 GHz
115 GHz
147 GHz
波長
3.4 - 2.7 mm
2.6 mm
2.0 mm
10m鏡 物理的開口面積
78.5 m2
10m鏡 開口能率[*]
0.65
(0.60)
0.53
Tsys in SSB
400 K
600 K
800 K
NMA イメージング感度(ライン、系内)
10m-10m 15基線
31.25kHz幅、4時間積分、1シグマ240 mJy/beam
350 mJy/beam
540 mJy/beam
NMA イメージング感度(ライン、系外)
10m-10m 15基線
16MHz幅、4時間積分、1シグマ11 mJy/beam
16 mJy/beam
24 mJy/beam
NMA イメージング感度(連続波)
10m-10m 15基線
2GHz幅[#]、4時間積分、1シグマ0.92 mJy/beam
1.4 mJy/beam
2.1 mJy/beam

たとえば、λ=1mmで観測し、合成ビームが1"×1"(FWHP)のGaussian
であった場合、ΔS = 1 mJy/beam のノイズレベルは、輝度温度にして
およそ14 mKに相当することになります。
なお、GaussianのFWHP値と立体角の関係は
6. その他の情報
6.1. データアーカイブおよびデータの保有期限
6.2. 論文出版
based on observations at the Nobeyama Radio Observatory(NRO).
Nobeyama Radio Observatory is a branch of the National Astronomical
Observatory, National Institutes of Natural Sciences, Japan.
)
までお問い合わせください。
最近のNRO reportは、
NRO on-line preprint serverに登録されています。
こちらにもぜひご登録ください。
Updated on: Wednesday, 03-Jun-2009 15:27:26 JST