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観測パラメータの決定
観測パラメータの決定と感度の見積もりは以下のように行います。
本文中に登場する変数については「はじめに」の図1-1も適宜ご参照ください。
まず以下のパラメータを設定します。
- 観測領域の広さを
l1 ["]
l2 ["]
(スキャン方向にl1、垂直方向にl2)
とします。
BEARSを使用する際には、25ビームが重なる領域はおよそ
(l1 - 160) ["]
(l2 - 160) ["]
となることにご注意ください。
- 1スキャン(on-source)にかかる時間を
tscan [s] とします。
このとき、天球上におけるスキャン速度は
vscan ["/s] =
l1/tscan
と書けます。
分光計のデータダンプ時間をtdump [s] とします。
- tdump秒間にアンテナが移動する距離
(tdump vscan ["])が
ビーム幅の1/3ないし1/4を超えないようにしてください。
tdumpはデフォルトでは0.1秒ですが、
vscanが小さい場合にはより長くしてデータ量を減らすことができます。
- パラメータの選び方に関するヒントも参照。
- OFF点1回あたりのスキャン本数をNscanSEQ、
スキャン列どうしの間隔を
l ["]、
作成するマップのグリッドサイズを
d ["]
d ["]
とします。
BEARSの場合、アレイを角度
傾けて、
隣りあうビームどうしが
lだけ
離れたスキャンを行うようにすることを推奨しています(前節の図1-1を参照)。
すなわち、
=
sin-1(
l/41.1)
とします。
このとき、スキャンの回数Nrowはシングルビーム受信機の場合
Nrow =
l2/
l +1、BEARSの場合
Nrow =
l2/(5
l) +1と書けます。
これらの値を使って、以下の手順でパラメータの決定と感度見積もりを行います。
ツール(otf45.c/otf45.pl)でも計算できます。
- スキャン1本あたりのオーバーヘッド tOH [s] は
OFF点への往復時間
2
ttranOFF [s]、
助走時間tapp [s]、および
助走開始点への移動時間ttran [s] からなり、

と表されます。
ttranOFFは、
OFF点までの距離dOFF [arcmin]を用いて、経験則
ttranOFF =
ceil( 4.4
dOFF0.26 )
で表されます。一方、tapp、
ttranは高度角Elにおけるアンテナの最大駆動速度
(vscan + 15cos(Dec) ["/s]) / cos(El) から、図2-1の関係を用いて求められます。
- OFF点積分時間 tOFF [s] を

によって決定します。
ただし
=4.3 です
。
- OFF点、望遠鏡の移動時間などを含めたこのテーブルの総観測時間は

となります。ただしfcalはR-SKYキャリブレーション取得のオーバーヘッドです
(15分に1回、1分間かけてR-SKYを取得すると、fcal=16/15)。
- tOBStotが
ポインティング観測を行うべき時間間隔を超えてしまった場合は、
複数の観測テーブルに分割するなどして実行時間を短くする必要があります。
- 総on-sourceスキャン時間(観測時間のうちon-source積分を行っている時間)は以下で表されます:

- 1グリッドあたりの実効的なON点, OFF点積分時間はそれぞれ


と表されます。
- 得られるマップのrms雑音温度は、システム雑音温度をTsys [K]、
マップの周波数分解能をB [Hz]として

で見積もられます。
ここで
qは分光計の量子化効率で、
現行のデジタル分光計(AC)では0.88です。

図2-1:アンテナ駆動速度に対して必要な
助走時間tapp、
移動時間ttranの実測値。
通常のposition switch ("step-and-integrate")観測と比較して、OTF観測では
- dead timeが少なくなるとともに、OFF点積分時間が相対的に短くてすむ
(tOFF < tscan)ために
全観測時間に占めるON点積分時間の割合
ON/OBS =
tONtot/tOBStotが向上すること
- 一般にtcellON < tcellOFFであるため、
TA*
が
TA*(ON)
に近づくこと
(position switch観測では
TA*
TA*(ON))
の2点によって観測効率の向上が見込まれます(その他の情報: FAQを参照)。
dead time → 0, tscan → 大 の極限において、
観測時間にして最大4倍の効率向上が(計算上は)可能です。
- tscanが長いほど(vscanが小さいほど)
nominalな観測効率は向上します。
tscanの上限は、おもに
- OFF点とOFF点との時間間隔が開くにつれてデータが劣化する(ベースラインがうねる)こと
- マップ全面を掃くのに時間がかかりすぎると、
OTFの利点の一つである「マップの均質性」が保てなくなること
の2点によってリミットされます。
OFF点とOFF点との間隔をどこまで伸ばせるかは未検証ですが、
少なくとも通常のposition switch観測と同程度にはできると考えられます。
- 一方、スキャン方向に十分密なサンプルをとれるという条件でtscanの下限が決まります。
Nyquistサンプルをすることが最低限必要ですが、
beam smearingを防ぐためにビームの1/3−1/4以上の割合でサンプルする
(すなわちvscan ["/s]
0.1 [s]
< (1/3−1/4) HPBW ["])ことが望まれます。
- スキャン列どうしの間隔
lは、
Nyquist間隔より小さく取る必要があります。
アンテナ駆動のぶれなどを考慮して、ややオーバーサンプルする(HPBWの1/3程度)ことが望ましいです。
グリッド間隔dと同じか、より小さくすることを推奨します。
- 一方向のスキャンのみではscanning effectが残ることがあります。
直交する2方向のスキャンを取得し、後からbasket-weaving処理することにより改善されます。
リダクションソフトにはEmerson & Gräve (1988)の手法(PLAIT)を実装しています。
データリダクションの項目をご参照ください。
BEARSを使用し、
l1=l2=1200 ["]、
最大El=60 [deg]、
tscan=40 [s]、
l=5 ["]、
d=6 ["]、
dOFF=40 [']、
Tsys(SSB)=500 [K]、
B=100 [kHz]、
convolution関数をBessel×Gaussとすると
% perl otf45.pl
### OTF sensitivity estimation for 45-m ###
Single-beam RX or BEARS? [0=single; 1=BEARS]: 1
Maximum Elevation El [deg]: 60
length of mapping area (along the scans) l1 [arcsec]: 1200
length of mapping area (perp. to the scans) l2 [arcsec]: 1200
time for scan tscan [s]: 40
number of ONs per OFF Nscan(SEQ): 1
separation between scans (delta)l [arcsec]: 5
map grid d [arcsec]: 6
OFF-point separation dOFF [arcmin]: 40
system noise temperature Tsys [K]: 500
resolution bandwidth B [kHz]: 100
convolution function [0:B*G; 1:S*G; 2:G; 3:PB; 4:SF]: 0
----------------------------------------------------------------
theta=6.99[deg]
25-beam overlap area=1016.8["]x1016.8["]
vscan is 30.0["/sec] (3.0" per 0.1s sample)
Nrow=49
tapp=6[s], ttran=6[s], ttranoff=12[s]
tOFF=7.8[s] -> 8[s]
tOH=30.0[s]
ttot(ON)=32.7[min]
ttot(OBS)=67.9[min]
eta(ON/OBS)=0.48
tcell(ON)=5.27[s]
tcell(OFF)=48.00[s]
dTa*=0.82[K]
で、最適OFF積分時間は8秒、約70分の観測で
TA*=0.82 [K]
が達成されます。
BEARSの傾き角
は7度(+マップのポジションアングル)、
25ビームが重なる領域は約1020秒四方です。
実効空間分解能は約17"となります(望遠鏡のビームが15"の場合)。
実効空間分解能についてはその他の情報: マップ作成時のconvolutionを参照してください。
2008-06-01 nro45mrt @ NRO
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