天体追尾(トラッキング)の精度は45mでの観測の場合、観測周波数を考慮すると、 約1秒角が求められる。この精度で追尾するには以下のような修正を行わなければならない。
アンテナの機器固有の機械精度による設計値との誤差を予め測定し、 それらをデータファイルとして蓄積している。これを器差ファイルと呼んでいる。 観測システムはこれを読み、その瞬間のアンテナの向きに応じた指向修正を行う。
地球回転(自転)速度の変化を観測値から予測して、 これによる天体位置の誤差情報をファイルにして蓄積している。 これをタイムファイルと呼んでいる。観測システムはこれを読んで、 その時のアンテナの向きに応じた指向修正を行う。 具体的には以下の2つのパラメータを与えている:
ここでUTC, TAI, UT1は以下を表す。
電波の屈折と高度角の補正に及ぼす気象の影響は
45mによる高周波電波観測では無視する事ができない。
大気の屈折率をnとすると修正屈折率Nは
![]()
で表されるが、B. R. Been(Proc. IRE Vol. 50, 1962)の研究によると
マイクロ波の場合、Nは気圧、気温と湿度
(水蒸気圧Pwに換算してある)
の関数として以下のように求められる:
![]()
ただし
Tは絶対温度で表した気温[K]、
Pは気圧[hPa]、
Pwは水蒸気分圧[hPa]。
修正屈折率Nから高度角の補正量を求めるには
(1)式に地球の湾曲についての係数
(1-0.0011tan2z)
を掛けて単位をラジアンから角度の秒に換算する。
すなわち高度角をEl、天頂角をz=90°-Elとすると高度角の補正量
El は
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となる。
野辺山の気象観測から計算した高度角の補正量は、高度角15゜の場合およそ200"である。 45mで43GHzの観測を行う場合その視野 (HPBW:Half Power Beam Width) は約42"であるので、 リアルタイムでアンテナの駆動に対して補正しないと、望遠鏡の視野内に天体を導入できず、 ポインティング観測を行う事ができない。
45m気象観測システムは観測棟に隣接された気象タワーに設置したセンサーからのデータを取り込み、 ファイルとして随時蓄積している。観測システムはこれを読んで、 その気象状況から修正値を計算して指向修正を行っている。
*参考として実際の気象データの取得用の制御機器と方法を示す。
観測システムは観測天体に対する45m望遠鏡の視線速度(地球の自転・公転などを考慮)を計算し、 更にその速度による受信周波数の変化(ドップラーシフト)を計算し、 常に目的の周波数で観測が続けられるように周波数追尾(周波数トラッキング)を行っている。