国立天文台
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MIPS-J1428から大量の分子ガスを発見!
MIPS-J1428が活発に星を生んでいるということは、その材料である分子ガスも大量に存在するであろうと私たちは考えました(
Q&Aを参照
)。そこで私たちはMIPS-J1428に未曾有の量の分子ガスを見つけるために、野辺山レインボー干渉計による分子ガス探査を計画し、望遠鏡をMIPS-J1428に向けました。その結果、この銀河から
一酸化炭素分子
が大量に観測されたのです。一酸化炭素分子は銀河が持つ分子ガス、すなわち星々の材料の総量を表す良い指標として天文観測に広く用いられているのですが(
Q&Aを参照
)、この銀河からはじつに天の川銀河の約30倍もの星の材料が確認されたのです。このような大量の星の材料を抱えている銀河は、現在までに観測されている深宇宙のなかでも特にまれな存在です。さらに解析を進めていくと、MIPS-J1428に存在するガスは非常に効率良く星に変わっている事実が明らかになってきました。これは、私たちの天の川銀河の比較的近くにいる銀河のおよそ30倍にもおよぶ、たいへん高い効率で分子ガスから星が生まれていることになります。
図3-1:(左図)我々がレインボー干渉計で観測した一酸化炭素分子の分布(緑)と赤外線画像(赤)を示しています。(右図)MIPS-J1428から一酸化炭素分子ガスが放つ特殊な電波を検出した証拠を示しています。
見えてきた88億年前の「巨大銀河の赤ちゃん」
私たちの発見と今までわかっていた事実をまとめると、次のような新しい描像が浮かび上がってきました。MIPS-J1428は星の材料を非常に大量に抱え、"爆発的に"星々を生みだし急激に成長している若い銀河、いわば「巨大銀河の赤ちゃん」であることがわかってきました。このように非常に大規模な銀河の赤ちゃんは100億年以上昔の宇宙にも数個発見されていました。しかしながら、我々の観測によって、より現在に近い88億年前の宇宙にも分子ガスを大量に抱えた大きな銀河の赤ちゃんが存在していた事実が明らかになったのです。したがって、今回の私たちの発見は、巨大銀河の形成が100億年以上昔の宇宙に集中していたという通説に対する反例を提示したことになり、100億年以上前にほぼ完了したとされる巨大銀河の形成は実はもっと最近まで続いていたという可能性を新たに示す結果となりました。今後さらに観測が進めば、巨大な銀河だけでなく私たちの暮らすこの天の川銀河のような通常の銀河の形成や進化について新たな知見が得られることでしょう。私たちの研究は、私たちが住む天の川銀河の誕生をひも解くための大切な一歩となります。
MIPS-J1428のように大量の塵に包まれた銀河の赤ちゃんは、(塵が遮ってしまうために)可視光では観測が難しく、レインボー干渉計のように塵の影響を受けにくい長い波長を専門に観測できる望遠鏡で辛抱強く観測を続けていくことが重要です。ALMA望遠鏡(
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)はこのような観測を行うための次世代の電波望遠鏡です。
図3-2:MIPS-J1428のイメージ図。塵に包まれた銀河の内部で分子ガスがかき集められ、大量の重い星々が次々と誕生していく様子を描いています。
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