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国立天文台の田村陽一氏、東京大学の河野孝太郎氏らが率いる日米メキシコ国際共同研究チームは、地球からの距離約115億光年彼方に、爆発的な星形成活動を行っている銀河が群れ集まっている様子を捉えることに世界で初めて成功しました。これらの銀河は我々の銀河系の1000倍に迫るという凄まじい勢いで星を形成しています。このような爆発的星形成を行っている銀河はこれまでも単独で発見されていましたが、その集団を発見したのは初めてであり、この研究成果は銀河形成理論において極めて重要です。
本研究の観測は、ASTE(アステ、詳細はこちら)サブミリ波電波望遠鏡に搭載された新しいミリ波カメラによって行われました。観測領域はみずがめ座の方向で、すばる望遠鏡による観測からそこには小さい銀河が密集していることがわかっていました。今回発見された爆発的星形成を行っている銀河の集団は、その小さい銀河の集中度が特に高い領域に位置していました。銀河の密度が高いということは、暗黒物質の密度も高いことを意味しています。そして、現代の銀河形成理論では、暗黒物質の密度が高いところで、爆発的に星形成を行い、やがて大質量銀河へと進化する銀河が誕生することを予想しています。本研究の結果は、このような銀河形成の理論予想と一致していました。
研究チームでは他の天域に対しても過去に例を見ないほど大規模な観測を同様に行っており、今後は、爆発的星形成を行う銀河が普遍的に銀河密度の高い領域に分布しているのか、どのくらい昔から爆発的星形成銀河が誕生しており、どのようにして現在の大質量銀河へと進化するのか明らかにしたいと考えています。
本研究の結果は、英国科学雑誌「ネイチャー」の5月7日号に掲載予定です。
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