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| Q. 原始クエーサーってなに? |
| ...... A. ガスに覆われた巨大ブラックホールのゆりかご。 |

そもそもクエーサーは、ありとあらゆる電磁波を放出する銀河核で、可視光線では青白い点状の天体として観測されます。そのエネルギー源は、巨大ブラックホールに落ち込むガスがもつ重力エネルギーです。このとき中心の巨大ブラックホールは、ガスを吸い込むことで少しずつ成長します。したがって、ブラックホールの周囲にガスがなければ、そのブラックホールがどんなに重くて強力な重力をもっていてもクエーサーとして輝くことはできませんし、成長もできません。では、ガスが大量にあればよいかというと、今度は大量のガス(暗黒星雲)が銀河核を覆いつくしてしまい、青白い光は地球まで届きません。しかし、暗黒星雲の内部で巨大ブラックホールが大量のガスを吸い込みながら急成長しているとするならば、その分厚い星雲の中心で莫大なエネルギーを放射する天体が存在するはずです。これを原始クエーサーと呼びます。分厚いガスを透過する電磁波で観測することができれば、原始クエーサーの存在を確認することができます。原始クエーサーは、自らが放射する電磁波の圧力で周囲の暗黒星雲を吹き飛ばし、やがてクエーサーとして可視光でも観測されるようになると考えられています。
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| Q. 光をも吸い込むブラックホールがなぜ光るの? |
| ...... A. ブラックホール周囲のガスが光る。 |

ブラックホールの重力はたいへん大きいため、あらゆるものが引き寄せられます。引き寄せられた物質は、その重力エネルギーを運動エネルギーに変換し、 速いスピードで運動を始めます。ところが、排水口の水が渦をえがいてなかなか吸い込まれないのと同じように、いちど大きい速度をもったガスは、なかなかブラックホールに落ちず、ブラックホール周囲を回転する円盤 (降着円盤) を形成します。ここでは、ガス同士が激しく衝突し、こんどは運動エネルギーを莫大な熱エネルギーに変換します。この高温に熱せられたガスが、強烈なX線、紫外線、可視光線、そして電波に至るまでのあらゆる波長の電磁波を放射します。 |
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| Q. モンスター銀河についてもっと詳しく教えて! |
| ...... A. 天の川銀河の1000倍に及ぶ凄まじい速さで星を生み出す、ガスと塵に覆われた重い銀河。 |

専門的には「サブミリ波銀河 (submillimeter galaxy)」と呼ばれる銀河種族で、1997-98年に初めてその存在が報告されました。複数の銀河が衝突するなどしてガスがつぶれ、内部では私たちの天の川銀河の1000倍におよぶほど凄まじい勢いで星を形成しています。私たちの銀河系を丸ごとひとつ作るのに十分なほど莫大な量の分子ガスが発見される例もありました(過去の国立天文台記者発表 - 野辺山レインボー干渉計が解き明かす暗黒の宇宙 - を参照)。モンスター銀河が栄えた時代からおよそ100億年経った現在では、これらの銀河は暗黒物質が強く集中したような場所に存在する巨大銀河に進化したものだと考えられています。
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| Q. そんなに珍しい原始クエーサーをどうやって探したの? |
| ...... A. じつは偶然見つけた。 |

はじめは、SSA22-AzTEC1という特異銀河の性質を調べる目的で研究を開始しました。ところが、ちょうど同じ時期に英国の研究チームが、X線による大規模な銀河核探査を行った成果を発表しました。調べてみると、そのうちひとつ、しかももっとも分厚い暗黒星雲に埋もれたもっとも明るい銀河核のひとつが、SSA22-AzTEC1の位置とぴたりとあったのです。すぐさま英国の研究者に連絡を取って共同研究を開始し、今回の発見に至りました。このような偶然の発見も、天文学の醍醐味なのかもしれません。 |
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| Q. サブミリ波ってなに? |
| ...... A. 波長0.1〜1mmの電波。 |

電波にもさまざまな種類があるのはご存知かと思います。電波の種類は波長で区別されています。テレビなら波長は60センチ前後、携帯電話なら10〜30センチ程度。サブミリ波はそれより短く、波長が1ミリ以下の電波をさします。とくに、0.3ミリ以下のサブミリ波をテラヘルツ波と呼ぶこともあります。サブミリ波は天文学での応用がたいへん大きいですが、非破壊センサスへの応用のためのテラヘルツ技術の開発も世界中の研究機関や大学で進んでいます。
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| Q. 塵ってなに? |
| ...... A. 塵は1ミクロン程度の微細な砂粒。 |

宇宙空間には、主に炭素やケイ酸からなる1ミクロン(1000分の1ミリ)程度の微細な砂粒が数十光年程度の大きさの雲のように存在していることがしばしばあります。この砂粒を「宇宙塵(cosmic dust)」、あるいは単に「塵」と呼びます。塵は可視光線や紫外線を吸収するため、その向こう側にある天体(星)を見ることができません。その代わり、しかし、塵は星からの光を吸収して暖まり(それでも氷点下250〜100度!)、今度は塵自身が中間赤外線・遠赤外線、そしてサブミリ波で輝きだします。宇宙空間に存在する塵の起源はまだ完全に解明されていませんが、超新星爆発で生成されたり、年老いた星の表面で作られたりすることによって宇宙空間に放たれると考えられています。
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| Q. 暗黒星雲ってどういうもの? |
| ...... A. 濃いガスと塵の混合した星の材料。 |

専門的には分子雲 (molecular cloud) と呼びます。
その組成の大部分は、水素分子を主成分とする分子ガスですが、塵のような固形の物質もふくまれます。分子雲は、私たちの太陽や地球のような恒星や惑星の材料になります。 |
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| Q. 巨大ブラックホールってなに? |
| ...... A. 太陽の重さの100万〜10億倍の、非常に重いブラックホール。 |

ブラックホールは、その質量に応じて、恒星質量ブラックホール (stellar mass blac hole)、中間質量ブラックホール (intermediate mass black hole)、大質量ブラックホール (massive black hole)
あるいは超大質量ブラックホール (supermassive black hole) と分類されます。このうち(超)大質量ブラックホールを指します。巨大ブラックホールは、銀河のなかの特別な場所「銀河中心核 (銀河核)」にしばしば発見されています。わたしたちの天の川銀河もふくめて、ほとんどの銀河が巨大ブラックホールをもっているだろうと考えられています。クエーサーとして輝くほどに活発にガスを吸い込んでいる巨大ブラックホールは、非常に珍しいようです。 |
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| Q. 原始銀河団ってなに? |
| ...... A. たくさんの銀河が集合した宇宙で最大の大きさをもつ"天体"。 |

天体物理学では重力に束縛された物質系を「天体」として扱うのが一般的です。重力に束縛される、ということは重力によって自分自身の構造を維持し、時間が経っても散り散りにならない、ということを示しています。銀河団は、暗黒物質、電離ガス、銀河などからなる天体で、その形成段階にある状態を、原始銀河団と呼びます。最近の観測から、原始銀河団の典型的な大きさは数億光年程度であることがわかっています。その組成は暗黒物質がほとんどを占め、暗黒物質が集中している箇所で銀河が誕生すると考えられています。
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| Q. アステ望遠鏡について詳しく教えて! |

ASTE (アステ)とは、Atacama Submillimeter Telescope Experiment (アタカマサブミリ波望遠鏡実験)の略です。波長0.1ミリから1ミリのサブミリ波を観測する電波望遠鏡を、サブミリ波で最高の観測条件を備えた南米チリ北部、標高4800メートルのアタカマ高地に設置し、運用するプロジェクトです。現在、国立天文台野辺山および大学連合(東京大学、チリ大学、名古屋大学、大阪府立大学、茨城大学、北海道大学、慶応大学)と共同で推進しています。このプロジェクトは、世界に先駆けて南天において10メートル級サブミリ波望遠鏡による本格的なサブミリ波天文学を推進するとともに、それを支える観測装置や観測手法の開発を実証することを目的としています。2004年から波長0.87ミリ (周波数350 GHz)で、2010年には波長0.61ミリ (周波数490 GHz) での本格的な天文観測が開始されました。南天にある、我々の天の川銀河系の中心領域や星形成領域、大小マゼラン雲など興味深い天体を精力的に観測する他、遠方銀河に対する観測にも威力を発揮しています。アステのホームページはこちら。
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| Q. サブミリ波干渉計について教えて! |

サブミリ波干渉計 (Submillimeter Array = SMA) は、米国ハーバード・スミソニアン天体物理学センターや台湾中央研究院が運用する、サブミリ波での定常観測に世界で最初に成功した結合型電波干渉計です。口径6mのアンテナが8機、米国ハワイのマウナケア山頂に設置されており、干渉計という技術をもちいることで、最大で509 mの口径をもつ望遠鏡に相当する分解能(視力)を達成することが可能です。サブミリ波干渉計のホームページはこちら(英語サイト)です。干渉計のしくみについては、こちらのページ (アルマ望遠鏡のサイト) をご覧ください。
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| Q. アタカマ高地について教えて! |

アステ望遠鏡やアルマ望遠鏡のあるアタカマ高地は、チリの北部アンデス山脈の太平洋側に位置する標高およそ5000メートルの岩石砂漠です。気圧は海抜ゼロメートルの半分程度 (55%) しかなく、世界の砂漠の中でも特に乾燥した場所であることが知られています。水蒸気を苦手とするサブミリ波観測にとって、このような非常に標高の高く乾燥した地域は絶好の観測サイトになります。
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