ここでのポイントは、上に挙げた2つの天体種族の形成において、複数の銀河の合体が深く関係している可能性が高い点にあります。銀河が衝突する頻度は、銀河の数密度に比例して高くなります。したがって、宇宙初期に見つかっている若い銀河の大集団(原始銀河団) の内部のような、銀河の個数密度が高い環境では、銀河どうしの相互作用や衝突現象が促進されることが期待されます。衝突を経験した銀河の内部では、衝突が引き起こす潮汐作用や衝撃によってガスが集められ、急激な星形成活動(爆発的星形成)が引き起こされます (モンスター銀河の出現)。同時に、大量のガスが巨大ブラックホールに引きずり込まれることで、巨大ブラックホールの急激な成長が生じる (原始クェーサー) というシナリオが成立します。
たいへん興味深いのは、こうした巨大ブラックホールの誕生が、原始銀河団という8桁以上もことなる大きさをもった広域的な構造と物理的に結びつくことが期待されるという点です。このように、大きさの異なるさまざまな天体がおたがいに関係しながら形成・進化することを、「宇宙の階層的構造形成」と呼び、現代の天体物理学における中心的な課題になっています。原始銀河団 (1億光年) と銀河核(巨大ブラックホール) (1光年未満) というまったく異なるスケールを関連づけるには、(1) 原始銀河団のなかにモンスター銀河はいるのか、(2) モンスター銀河の中心に原始クエーサーはいるのか(巨大ブラックホール成長が起こっているのか)、という2つの疑問を解かなければなりません。
問題は、巨大ブラックホールの成長が、爆発的星形成を伴った母銀河の大量のガスと塵(暗黒星雲)に「隠されて」進行し、そしてやはりその母銀河(モンスター銀河)も暗黒星雲に隠されるという点です。理論的に予想される、こうしたクエーサーの前段階「原始クエーサー」の母銀河の特徴は、モンスター銀河のそれと酷似しています。そして、モンスター銀河は、サブミリ波で莫大なエネルギーを放出します。したがって、これらの疑問を解くカギは、サブミリ波によるモンスター銀河の探査です。
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