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本研究の意義としてまず挙げたいのが、観測的にきわめて希少である原始銀河団中の原始クエーサー候補天体を同定した点です。原始クエーサーの希少性は、(1) その期間 (寿命) が銀河の年齢に比べていちじるしく短いはずであるという、本来の性質に起因する理由、(2) 暗黒星雲に覆われているためそもそも発見がむずかしいという、観測技術的な理由の一方ないし両方によると考えられます。事実、原始銀河団のような銀河の過密な環境で見つかった原始クエーサー候補天体は、これが最初の例です。今回の発見は、原始銀河団−大質量銀河−巨大ブラックホールの形成の相互関係を観測的・理論的に理解するための、絶好の観測対象、言わばひとつの「実験場」を提供するはずです。
もうひとつの意義は、「隠された」星形成銀河とも言うべき銀河を同定したという点です。本天体のように、世界最先端のすばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡をもってしても可視光が検出されない、しかしサブミリ波できわめて明るい銀河の同定は、世界で2例目です。この事実は、科学運用が目前にせまる アルマ望遠鏡 で、少なくない数の隠された星形成銀河が遠方宇宙に発見されることを予感させます。
本研究成果は、12月1日発行の米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル』に掲載される予定です。また、11月12日付けで同誌オンライン版に先行発表されました。
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