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世界初の仕様の新たな超伝導受信機の実用化に成功!

 野辺山宇宙電波観測所の中島 拓研究員を中心とする研究グループは、大阪府立大学宇宙物理学研究室との共同で 45 m 望遠鏡用の新しい 100 GHz 帯の超伝導受信機の開発に成功しました。この受信機は、電波の縦・横の偏波成分を導波管による OMT(Ortho-Mode Transducer;偏波分離器)で分け、上・下の両サイドバンドをサイドバンド分離ミクサ(2SB Mixer)で分けて受信することで、従来よりも高感度かつ広帯域の観測が可能です。さらに、ビーム数が 4(2x2)ビームあるマルチビーム受信機となっており、天空の広い領域を効率よく観測するのに適しています。  この受信機は、2008 年から約 3 年をかけて開発が進められ、2011 年 5 月初旬に 45 m 望遠鏡に搭載されました。そして、これまで観測に向けた調整が進められてきましたが、5 月 19 日に初めて天体からの信号を受信すること(ファーストライト)を達成しました。このような両偏波・両サイドバンド同時受信のマルチビーム受信機としては、世界で初めて実用化に成功したことになります。

図1:新たな受信機と開発メンバー(ファーストライト達成直後の記念撮影)
図2:ファーストライトで得られた4つのビームによる天体のスペクトル(IRC+10216 という晩期型星が放射する一酸化炭素分子スペクトル)