星の生まれる場所と生まれ方

星が生まれる場所は大きく分けて2種類に分類されます。1つ目は、主に低質量(太陽の質量と同程度の質量)星のみが生まれる暗黒星雲と呼ばれる分子雲です。この領域では、1つのコア(密度が高いガスの塊、星を生むもと)から1つまたは2つの星が生まれることが知られています。 これは「孤立した星形成モード」と呼ばれるモードを通して生まれることが知られています。 過去10数年間のおうし座分子雲等に対する系統的な観測的研究により、「コアの自発的重力収縮→中心星への質量降着→原始星(誕生初期の星)から極方向に高速(数km/s~数百km/s)でガスを吹き飛ばす(分子流)」という孤立した星形成モードでの進化シナリオが確立しつつあります。 2つ目は、低質量星から大質量(太陽の質量より10倍程度重い)星までが生まれる巨大分子雲と呼ばれる分子雲です。 この巨大分子雲では星団形成、大質量星形成といった様々な星形成モードが起きています。

誘発的星形成の研究

星団形成や大質量星形成が起きている領域の周辺には分子流や別の大質量星があることから、 星団形成や大質量星形成を引き起こすためには、分子流や別の大質量星が必要だと考えられています(誘発的星形成)。 星団形成領域は、狭い領域に多くの星が生まれているため、より細かい構造を詳細に調べる必要(高い空間分解能が必要)があります。一方、大質量星の影響は広範囲に渡るため、広い領域の観測(広域観測)が必要になります。つまり、誘発的星形成の観測的研究には、高い空間分解能による広域観測が要求されます。 しかし、これまでは、このような観測は技術的に難しかったため、誘発的星形成の観測的研究は 「孤立した星形成」の観測的研究と比べ遅れをとっていました。

受信機、観測手法の進歩

近年、受信機の性能や効率よくデータを取得する観測手法が飛躍的に進歩しました。 例えば、野辺山45m望遠鏡はミリ波と呼ばれる電波を観測できる望遠鏡の中で世界最大の口径を持ち、高い空間分解能で観測を行うことが出来ます。 さらに、野辺山45m望遠鏡に搭載されているBEARS受信機は、広域観測を効率的に行なう事が出来ます。 また、観測手法も宇宙からの電波をより効率的に観測する手法(On-The-Fly法)も開発され、従来の観測手法と比べ、数倍の効率でデータを取得することが出来るようになりました。 このような技術等の進歩により、 10年前では、数百時間の観測時間が必要だった観測でも、数十時間で行なうことが出来るようになりました。そのため、実現するのが難しかった巨大分子雲に対する高い空間分解能による広域観測が可能になりました。