モンスター銀河とは一体なんなのか、宇宙のどの時代にどのような環境で生まれたのか、これらのモンスター銀河の普遍的な性質を探るためには宇宙を広く深く観測することが必要です。また他の可視光や近赤外線で見つかっている普通の銀河とモンスター銀河の関係を調べる事もモンスター銀河の性質、さらには初期宇宙における宇宙の星形成、構造形成を探る上で非常に重要です。研究チームはこれらの研究を行う領域としてすばる/XMM-Newton深宇宙探査領域(SXDF)を選びました。SXDFは日英が中心になって初期宇宙の調査を行っている領域です。すばる望遠鏡による可視光、近赤外線のデータをはじめ欧州のX線観測衛星XMM-Newton, イギリス赤外線望遠鏡、スピッツァー宇宙望遠鏡、超大型干渉電波望遠鏡群VLAなどの深く広いデータがあり多方面からの初期宇宙の調査がされています。これらのデータを合わせる事でモンスター銀河についてより詳細に調べる事が期待されます。

初期宇宙におけるモンスター銀河の探査

 研究チームは、アステ望遠鏡に搭載されたアズテック(AzTEC)カメラを用いてSXDFにおけるモンスター銀河の探査を行いました。アステ望遠鏡は主に国立天文台、東京大学が共同で南米チリ・アンデス山脈のアタカマ砂漠(標高4800メートル)に設置・運営をしている口径10メートルのサブミリ波望遠鏡で、サブミリ波カメラAzTECと組み合わせることで初期宇宙のモンスター銀河に対して非常に高い探査能力を発揮します。この結果今までに無い数のモンスター銀河をSXDFにおいて見つけることに成功しました。

図1: すばる望遠鏡に搭載されている広視野カメラSuprime-Camによるすばる/XMM-Newton深宇宙探査領域の可視光の3色合成画像。

過去の国立天文台の発表「すばる望遠鏡 銀河形成の歴史に迫る」(http://www.naoj.org/Pressrelease/2004/06/01/j_index.html)も合わせてご覧下さい。

モンスター銀河

 モンスター銀河とは、太陽と同じような質量の星を一年間に500~1000 個も作っていたと考えられている、90〜120億年昔の宇宙に多く存在したと考えられているたいへん珍しい銀河種族です。これは地球がある天の川銀河の数百倍の激しいスピードで星を生成していたことになります。そして、モンスター銀河は厚い塵(ちり)に覆われているため、可視光などでは非常に暗く、遠赤外線やサブミリ波の波長で非常に明るいという性質を持っています。このようなモンスター銀河は、現在の宇宙に存在する巨大なブラックホールをもつ巨大銀河に進化するのではないかと考えられています。モンスター銀河については過去の国立天文台記者発表「115億光年彼方に爆発的星形成銀河の集団を発見」も参照ください。