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南牧村クラウドファンディング贈呈式

2021年4月5日(月)に、野辺山宇宙電波観測所構内において南牧村クラウドファンディング贈呈式が行われました。

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贈呈式の様子
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左から大村公之助 南牧村長、立松健一 野辺山観測所長、常田佐久 国立天文台長

「財政難に苦しむ野辺山宇宙電波観測所を応援したい!」というかけ声のもと、地元の南牧村によって当観測所の支援を目的とした クラウドファンディング型ふるさと納税などによる募金活動が2020年10月19日より2021年1月18日までの3ヶ月に渡って実施されました。 南牧村長をはじめ関係の皆様のご尽力の結果、クラウドファンディング型ふるさと納税とともに実施された南牧村への直接寄付をあわせると、 のべ380人という非常に多くの方々からの寄付がありました。当初の目標額300万円を大きく超えた709万8919円という金額が集まりました。 このたび、南牧村から国立天文台野辺山宇宙電波観測所へ、手数料や諸経費を引いた556万2945円の寄付を頂くのにあたっての贈呈式となりました。
 最初に、大村公之助南牧村長からあいさつを頂いたあと、目録を贈呈されました。そのあと常田台長より謝辞を行い、特別感謝状をお渡しすることができました。 常田台長による謝辞の全文を以下に掲載します。

南牧村クラウドファンディング贈呈式 謝辞 (常田佐久 国立天文台台長)
大村村長、そして南牧村の皆様、野辺山宇宙電波観測所のために、クラウドファンディングを立ち上げ、支援活動を行っていただき、 誠にありがとうございます。ただいま大村村長から贈呈いただきましたご寄附には、南牧村の皆様、そしてクラウドファンディングの趣旨にご賛同くださり、 ご寄附くださった全国の皆様の野辺山宇宙電波観測所への熱い想いが詰まっているものであり、この期待にぜひとも応えていかなければならない責任感と、 こんなにも応援していただける観測所である、という喜びの気持ちでいっぱいです。
 南牧村に最初に観測所が設置されたのは、1969年のことになります。太陽電波の観測拠点として、野辺山太陽電波観測所が開所いたしました。 それから13年後の1982年、野辺山宇宙電波観測所が開所し、45m電波望遠鏡の共同利用も開始しました。  それまでの電波望遠鏡の最大口径が11mであった時代に45mの電波望遠鏡を製造したのは、大きな挑戦でありましたが、 それがゆえに完成からの40年間、優れた成果を生み出し続けてきました。 2020年度のノーベル物理学賞を、天の川銀河の中心付近に、 見えない超巨大ブラックホールが存在することを証明したゲンツェル氏とゲッズ氏が受賞したことは記憶に新しいと思いますが、 実はこの功績の背後にも中井直正(なかい なおまさ)さんらによる45m電波望遠鏡の先駆的な研究がありました。長きに渡り、 我々が研究活動を続け、第一線の研究成果をあげてこられたのは、一重に南牧村の皆様のご理解とご支援の賜物でございます。心よりお礼申し上げます。
 クラウドファンディングでご寄附いただきました方々から寄せらせたメッセージを私も読ませていただきました。 友人や家族との大切な思い出の中に本観測所が刻まれていることを知り、大変感動いたしました。 また、ここを訪れた子どもたちに夢を与えるきっかけにもなっていることがわかり、大変うれしく思います。 今後も、本観測所を訪れたことをきっかけに、宇宙、天文への興味を持っていただき、将来、研究者の道を志す方や、 天文分野を応援してくださる方が増えることを願っております。そのために国立天文台としても45m電波望遠鏡の存続に向けて、 工夫していくことが大切であると切に感じております。
 こんなにも多くの方の心に残る望遠鏡であるのは、南牧村の美しい自然があるからこそであると、本日もここを訪れて再確認いたしました。 美しい山々、四季折々の表情、小鳥たちのさえずり・・そして澄んだ空、夜には満天の星空。この美しい風景の中に立つ大きなパラボラアンテナが、 自然と調和し、皆様に愛され、野辺山の景色の大切な一部となれたことをうれしく思います。
 今後とも、南牧村と国立天文台、両者の協力関係を深め、ともに歩み続けられることを願い、私のお礼の言葉とさせていただきます。
本日はありがとうございました。

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2019/3/28 「地元、南牧村との協定に調印 -平成の次に向かって発進-」