りょうけん座の方角の渦巻銀河M51の詳細な分子ガスの地図を作成することに成功
2009年12月18日
ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の幸田仁氏、国立天文台の澤田剛士氏らが率いる国際研究チームは、野辺山45mミリ波望遠鏡と米国カリフォルニアのCARMAミリ波干渉計の
データを合成し、りょうけん座の方角の渦巻銀河M51の詳細な 分子ガスの地図を作成することに成功しました。星が生まれる母体となる分子雲(分子ガスの雲)の分布が初めて明らかに
なりました。宇宙がミリ波の電波で観測されるようになって以来、分子雲の進化 過程には謎が多く、形成後すぐに蒸発してしまう刹那的な天体ではないか、という説までありました。
今回の観測結果は、多数の分子雲が合体により成長し、銀河の渦巻 き腕の重力勾配によって引き裂かれ、小さな分子雲に分裂する、という力学的メカニズムを 強く支持するものです。
とくに、引き裂かれた分子雲が作る特徴的なフィラメント状の構造 まで検出されました。(Koda et al. 2009, ApJL, 700, 132)
- 図:渦巻銀河M51の分子ガス(分子雲)の分布