45m電波電波望遠鏡 新観測システムの開発
2010年04月26日
45m電波望遠鏡運用グループでは、45m鏡の高感度化、広帯域化を目指して、新しい観測システムの開発を進めています。この新観測システムには、電波を受信する受信機、中間周波数を下げていくIF変換器、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、周波数毎の電波強度を測る分光計が含まれています。それぞれの部分で最新の技術を取り入れており、特に、チリに建設中のアルマ望遠鏡(ALMA:アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)のために開発された技術がいろいろなところで利用されています(例えば受信機や分光計)。昨年12月に初めてこの新観測システムで天体からの信号の受信に成功し、今年の3月には、およそ5.5億光年離れた銀河からの信号の検出にも成功しました。新観測システムが完成すると、これまで検出できなかった微弱な天体の検出や、今までは何回かに分けて観測していた広い周波数範囲を同時に観測することが可能になり、例えば遠方にある生まれたての銀河の観測や星間空間に存在するいろいろな星間分子を観測することができるようになると期待しています。
本記事の内容は2010年天文学会春季年会で報告されました。
- 図1:新しい2ビーム受信機TZ
- 図2:新観測システムで検出されたMrk231(距離およそ5.5億光年)からの一酸化炭素分子輝線