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研究成果

2008

星の質量分布を予言することに成功

2008年12月16日

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図:分子雲コアの質量分布(左)から予想した星の質量分布 は実際の星のもの(右)と良く一致した。

星の明るさや寿命は、その質量によって決まります。星は分子雲コアと呼ばれる、水素分子の密度が1ccあたり数十万個程度のガスの塊の中で生まれるため、星の質量がどのように決まるかは、コアの性質を研究すれば明らかになると考えられます。 国立天文台と宇宙科学研究本部の研究グループは、野辺山45m電波望遠鏡を用いてオリオン座Aと呼ばれる領域においてコアの探査を行いました。その結果、236個とこれまでにない多数のコアを検出すること に成功しました。そして、コアの質量分布を調べたところ、その形が星の質量分布とよく似ていることが分かりました。さらに、コア同士が重なる効果を補正し、かつコアの物質のうち4 割が星になると考えると、星の質量分布とよく一致しました。つまり、星の質量分布はコアの質量分布から予言できることが明ら かとなりました。(Ikeda, Sunada and Kitamura 2007, ApJ, 665, 1194)

45m電波望遠鏡用の新たな100GHz帯シングルビーム受信機の開発

2008年04月04日

図:45m電波望遠鏡に搭載された新受信機の外観

45m電波望遠鏡に搭載する新しい100GHz帯のシングルビーム受信機システムを 大阪府立大学の中島拓氏らが開発して望遠鏡に搭載し、本格観測を開始しました。 この受信機は、導波管回路による偏波分離器(OMT)と 2個のサイドバンド分離(2SB)ミクサから成り、 受信した電波の直交する両直線偏波成分と高周波・低周波の両側波帯成分を分離して同時に取り出すことで、 4つの異なる周波数帯を同時に観測することが出来ます。 これによって、従来の受信機に比べて大幅な低雑音(高感度)化と広帯域化に成功しました。(Nakajima et al. 2008, PASJ, 60, 435)

星周辺部における負イオンC8H - の検出

2008年02月15日

図:45m電波望遠鏡により観測されたC8H-のスペクトル

IRC+10216と呼ばれる年老いた星周辺部では多くの炭素鎖分子が検出されていますが、 宇宙における最初の負イオンC6Hが検出された天体としても注目を集めています。 岡山大学、国立天文台野辺山、静岡大、米国ハーバード大の研究グループは、 野辺山45m電波望遠鏡を用いて宇宙では第3番目の負イオンとなる C8H-のスペクトル線を5本観測しました。 その中の2本を図に示します。 スペクトル線の強さからC8Hイオンは 中性分子C8Hの37%にも達していることがわかりました。(Kawaguchi et al. 2007, PASJ, 59, L47)