2002 - 2003 共同利用

UVPROC IIを用いたデータ処理の概要


ここでは、「一次リダクション」と呼ばれるデータ処理の 概要と手順について説明します。この過程では、 NROで開発された UVPROC II と呼ばれるソフトウエアパッケージを 利用します。マニュアルとしては、web上に step-by-stepガイドを 用意してありますので、ご覧下さい。 印刷したものは、本館2F計算機室の入り口付近に 3冊分用意されていますので、適宜コピーして お使いください。

■ 一次リダクションの流れ

ここでは、観測生データに対する各種キャリブレーション処理を 行います。実際には、キャリブレーションを行うために必要な 補正ファイルの作成(bandpass tableおよびgain table)が 作業の中心となります。

  1. AIPSの起動

    リダクションIDの適当なwindowで、newstar↓とタイプするか、 マウスの右ボタンで開かれるpull-down menuから起動します。 UVPROC IIは、99年版に対応する新バージョン(UVPROC2.1)が リリースとなっています( UVPROC2.1を使用するための環境設定はこちら)。 したがって、AIPSのバージョンとしては、99年版を選んでください。

  2. UVPROC IIの起動

    NEWSTARのボタンパネルの中に、UVPROC 2というボタンが ありますので、それを押して下さい。

  3. baseline correction

  4. Tsys correction

  5. shadowing

  6. bandpass天体/calibration天体データのflagging

    • bandpass tableやgain tableを作成するに先立ち、 bandpass天体やreference天体のデータを実際にplotして、 その質を判断し、必要に応じて データのedit(bad dataのflagging)を行います。
    • UVPROC IIのmain windowにある、[CRT DISPLAY]を使用します。 なお、[REFERENCE CALIB.]の下にも[DISPLAY]という機能がありますが、 こちらは calibration table表示用であり、異なるものです。
    • 判断基準のポイントは、おおよそ以下のようになります。が、 特に初めて干渉計のデータ処理を行う方は、まずは経験者と一緒に データを眺め、データの質の判断基準について具体的な アドバイスを受けながら処理を行うことをおすすめします。

      • visibilityの位相がみえない

        これは、local信号のPLLが外れていたり、観測開始時に アンテナが天体に追いついていなかったり、チョッパーが 誤動作していたりする等のトラブルに起因するものと 思われます。

      • visibility位相のばらつきが大きい

        電波シーイングが悪い(位相ゆらぎが大きい)ときは、 長いベースラインほど位相の決まり具合が悪くなります。 もし位相が1 radian rms以上ゆらいでいたら (peak-to-peakで180度以上散らばっていたら)、そのベースラインに おいて該当する時間帯のデータは使い物になりません。 なお、calibratorが暗い場合、あるいはたまたま天候が悪くて Tsysが悪くなっている場合には、S/Nが足らないために位相が 散らばることになります。このようなケースでは、 短いベースラインでも長いベースラインでも同じように位相が 散らばっているはずであり、シーイングが悪い場合と 区別可能ですが、実際には、判断に困るケースも少なくありません (といわけで、基本的には、可能な限り明るいreference calibratorを 選ぶことが推奨されます)。

      • visibility位相が不連続に変化している

        位相が精度よく決まっているにもかかわらず、 時間方向でみて、ある時点で突如 ジャンプしているようなケースがごくまれに あります。PLLやA/Dに関係している可能性がありますが、 多くの場合、原因がよくわかりません。したがって、 この前後のデータは使用しないほうが無難です。 また、このようなケースに実際に遭遇した場合には、 今後の原因追求のため、干渉計関係者にも報告して下さい。

      • visibility振幅が極端に大きい/小さい

        突発的に振幅が大きいデータがあったら、それはたぶん スプリアスですので、除去して下さい。また、ある相関すべてで 同じように振幅が大きくなっていると、異常に気付かないことがあります。 DISPLAY画面に示されている、振幅の絶対値にも注意して下さい。 さらに、ある特定のチャンネルだけに出るスプリアスもあります。 DISPLAYで、あるチャンネル範囲(UWBC 1024 MHzモードの場合、 中心 3チャンネル(64, 65, 66チャンネル))だけでplotしてみると、 スプリアスの入り具合がわかりますので、そのチャンネルだけ flag outして下さい。 すべての相関で同期しながらじわじわ振幅が減少していく場合は、 天候が悪くなったか、elevationが低くなったものと考えられます。 どの程度まで許容するかは、他の日のデータの質とも 相談する必要があるでしょう。

      • visibility振幅が不連続に変化した

        位相がみえているにもかかわらず、振幅が不連続的に 小さくなった場合は、 A/Dの位相同期が外れてバンド内で位相傾斜が発生したか、 あるいはなんらかの原因で受信機へのlocal powerが変動し tuningの最適点を外れてしまった等の障害が起きたと予想されます。 また、一時的にアンテナの追尾に問題が生じている ことも考えられます。いずれにせよ、このようなデータが あった場合には、干渉計関係者に報告して下さい。

  7. bandpass tableの作成

    • システムの周波数特性を補正するためのtableを作成します。
    • [REFERENCE CALIB.]の下の[MAKE BP]を使用します。
    • bandpass天体の位相が時刻方向にじわじわと回っていると、 時間方向に積分しても周波数方向でのS/Nは向上しません。 このような場合には、時間方向の位相を強制的にそろえてから bandpass tableを作成してみて下さい。位相をそろえるためには、 [USER PROC]の下にある[VIS ROT]を使用します。
    • reference calibrtorがある程度明るい場合には、reference天体の データからbandpass tableを作ることも可能です。

  8. gain tableの作成

  9. 「バンド幅切り替え」によるFXデータのcalibration

    • 基本的な考え方

      FXは、高い周波数分解能を持つ一方で、バンド幅が狭い(32MHz)ため、 連続波に対する感度が低く、かなり強いcalibratorでなければ FXだけのデータを使用してデータのcalibrationを行うことはできません。 そのかわりに、観測では バンド幅の広い(1024MHz/512MHz)UWBCを同時に使用し、 UWBCのデータを使って、FXデータのcalibrationを行います。

      UWBCとFXの出力の比は、(少なくとも1回の観測にかかる時間程度では) 時間変化しない複素の定数であることが確認されています。したがって、 UWBCで得られたgain tableに適切な定数をかければ、FXのgain tableとして 使うことができます。ここでは、これを「バンド幅切り替え」と呼びます。

    • 実際の方法

      1. UWBC・FXそれぞれのbandpass tableを用意します。このとき、UWBCの bandpassは、「バンド幅切り替えの元データとなるUWBC用gain table」 を作るときに使用するものと同一でなければなりません。また、FXの bandpassは、FXの観測天体にcalibrationを行う(DO Calib)際に 使用するものと同一のものとしてください。

      2. 「バンド幅切り替えの元データとなるUWBC用gain table」を作ります。

      3. UWBCとFXのgain比(スケーリング)を決めるための元データを用意します。 その手順は以下の通りです。

        • (a) UWBCとFX同時に使って観測したquasarの生データのうち、 S/Nが最もよいものを選びます。通常、3C273などのbandpass として観測したデータが適当でしょう。瞬時瞬時での S/Nが良いものを使うほと、信頼性の高いスケーリングが得られます。 また、可能な限り、 本天体の観測日と同じ日に取得したデータを使用して下さい。

        • (b) UWBCとFXそれぞれに関して、(a)で選んだ生データと あらかじめ用意したbandpassを入力とし、[MAKE-GT] タスクを使って 周波数方向でのバンド特性を補正します。すると、UWBCおよび FXそれぞれに対し、gain table形式のデータ(各ベースラインで Real & Imaginary, およびerrorの値を1組ずつ持つデータ)ができます。 この際、Flux valueは、UWBC・FXとも同じ値であれば 何でも構いません。また、delta-time-criticalも任意の値で 構いません。以上のようにして作ったデータは、バンド特性を 補正した上で、周波数チャンネル方向で平均をとった値を UWBC・FXそれぞれにつき求めている、ということになります。

      4. [USER PROC]の下にある[CONVBW]タスクを使い、 バンド幅変換を行います。入力は、
        i) 元になるUWBCのgain table
        ii) 上記 (b)で作ったgain table形式のデータ2セット
        の計3つ。

        これで、「元になるUWBCのgain table」が、「UWBCとFXのgain比」 (上記(b)で作ったデータセット)を 介して、FX用のgain tableに変換されます。

      5. できたFX用gain tableの正当性を確認するには、たとえば [DISPLAY]等でgain tableと生データを重ねて比較してみて下さい。

  10. 観測データのcalibration

    • 作成したbandpass tableとgain tableを使って、 目的天体のデータに対するcalibrationを行います。
    • [REFERENCE CALIB.]の下の[DO CALIB]を使用します。
    • gain tableの作成で使ったbandpass tableと同じbandpass tableを 使って下さい。

  11. calibration済み観測データのflagging

  12. continuum成分の差し引き/データの切り出し

    • galactic sourceや非常に明るいstarburst銀河など、 強い連続波成分の上に輝線が乗っているケースでは、 連続波成分と輝線成分との切り分けを行う必要があります。 これには、[USER_PROC]の下にある [LCONT]を使用します。 calibration等が済んだデータをinputとし、 また輝線がないチャンネル範囲を指定します。 輝線がない(continuumだけの)チャンネル範囲は、 何箇所か指定できます。観測天体によっては、 非常に多くの輝線がバンド内に入ることがありますので、 チャンネル範囲指定には注意を要します。 outputは、「continuumを差し引いた輝線のvisibility」と、 「continuumのvisibility」の2つありますので、それぞれ 必要に応じて指定してください。
    • [VISCUT]では 「チャンネル方向のvisibilityのaveraging」や、 「必要なチャンネル範囲だけの切り出し」などを行うことができます。 たとえば、FXは1チャンネルあたり31.25kHzという非常に高い 速度分解能となっていますが、ここまでの速度分解能は 必要なければ、適当なチャンネル幅(たとえば4チャンネル幅)で averagingすることができます。また、目的とする輝線が 分光計のごく狭い範囲にしかないのであれば、輝線が含まれる 付近のチャンネル範囲だけを切り出す方が後々何かと便利です。 いずれの操作も、データ量圧縮という観点からも有用です。

  13. これで、一次リダクションは終了です。お疲れさまでした。 いよいよAIPSでimagingを行います(二次リダクション)。
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    Updated on: Sunday, 24-Nov-2002 03:20:22 JST
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