特別公開2022
「野辺山40年と新しい挑戦」
オンライン企画 (インターネットライブ配信)
「★ヨンゴー研究発表会★」
8/28(日) 10:30 〜 15:30
最新鋭の装置や最新の成果を7名の研究者がわかりやすく紹介します。
*動画は終了後も録画でご覧いただけます
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ヨンゴー研究発表会 (youtube配信) 講演プログラム
題目をクリックするとYoutube録画をご覧頂けます司会者 | 時間 | 発表者 | 対象 | 題目 |
竹川俊也 | 10:30-11:00 | 立松 健一 (宇宙電波観測所 所長) |
高校生・一般 | 新受信機7BEEで探る星の誕生の謎 |
11:00-11:30 | 下井倉 ともみ (大妻女子大学 准教授) |
小学高学年・中学生 | 星の誕生を電波で見てみよう | |
11:30-12:00 | 谷口 琴美 (国立天文台 特任助教) |
高校生・一般 | カーボン・チェーンが解き明かす星形成領域の進化と環境 | |
12:00-13:30 | 休 憩 | |||
金子紘之 | 13:30-14:00 | 今井 裕 (鹿児島大学 准教授) |
小・中学生 | 火の鳥プロジェクト |
14:00-14:30 | 甘田 渓 (鹿児島大学 博士後期1年) |
高校生・一般 | 星の最終進化始まりの兆候を発見 | |
14:30-15:00 | 立原 研悟 (名古屋大学 准教授) |
高校生・一般 | 星を作るレシピ(大きな星の場合) | |
15:00-15:30 | Ross A. Burns (国立天文台 特任研究員) |
高校生・一般 | 新受信機eQ : 超広帯域で実現する新しい電波天文学 |
『新受信機7BEEで探る星の誕生の謎』 高校生・一般向け
講師紹介
立松 健一(国立天文台 教授/野辺山宇宙電波観測所所長)
京都大学理学部卒業。 京都大学大学院修士課程、名古屋大学大学院博士課程修了。理学博士。野辺山宇宙電波観測所研究員、テキサス大学研究員、茨城大学助手、国立天文台助教授などを経て、2007年より国立天文台教授。ハッブル宇宙望遠鏡 の10倍の視力を持つ国際電波望遠鏡プロジェクト「アルマ」に従事した後、 古巣の野辺山に戻り、2017年7月より所長をつとめる。
講演概要
星の赤ちゃんは、「分子雲」と呼ばれる宇宙に漂う雲から誕生します。通常の水素の2倍の重さを持つ「重水素」を用いることにより、これまで不可能であった分子雲の年代測定が可能になりました。化石の研究に放射性元素の半減期が使われるように、重水素で宇宙の年代測定ができるようになったわけです。我々はオリオン座において「臨月の分子雲」のカタログを作成することに成功しました。観測所では、さらに広い天空での研究を進めるために、最新鋭の受信機7BEEを開発しました。この8月に45m望遠鏡に搭載しました。この受信機により、星の誕生の謎が、どのように解明されるかを説明いたします。
『星の誕生を電波で見てみよう』 小学高学年・中学生向け
講師紹介
下井倉 ともみ(大妻女子大学 社会情報学部 准教授)
さまざまな電波望遠鏡を用いて星の誕生を研究しています。野辺山45m鏡を使った観測では銀河系内の星団が生まれる場所を統計的に調査し、分子雲から星の集団(星団)がどのように形成し進化していくかのシナリオを提案しました。
講演概要
私たちは電波を直接見ることができませんが、実は、今この瞬間も星からの電波がやってきています。電波望遠鏡を使うと、星からの電波をキャッチすることができます。それでは、どのような場所から電波がやってきて、何が分かるのでしょうか?電波望遠鏡を使って見えてくる宇宙についてご案内します。小学生(高学年)から中学生を対象にお話します。
『カーボン・チェーンが解き明かす星形成領域の進化と環境』 高校生・一般向け
講師紹介
谷口 琴美(国立天文台 特任助教)
総合研究大学院大学 博士後期課程終了 博士(理学)。大学院生の時に野辺山に滞在して研究し、主に45m望遠鏡の成果で博士論文を執筆し、2018年3月に学位を取得。学位取得後は、アメリカのバージニア大学でVirginia Initiative on Cosmic Origins Fellow、学習院大学で助教として勤め、2021年4月から国立天文台 科学研究部の特任助教として三鷹キャンパスで研究を進めている。
講演概要
現在までに約270種類の分子が宇宙空間で発見されています。それらの分子は、宇宙空間特有のものから、地球上で馴染み深いもの、さらには生命の起源に関連すると期待されるものなど、非常にバラエティに富んでいます。本講演では、宇宙空間特有の炭素原子が直線状に連なった”炭素鎖(カーボン・チェーン)分子”という種類の分子に着目して、歴代の野辺山45m望遠鏡の成果と、太陽より8倍以上重い星が生まれている大質量星形成領域における炭素鎖分子の最近の研究結果についてご紹介します。
『火の鳥 プロジェクト』 小学生・中学生向け
講師紹介
今井 裕(鹿児島大学 天の川銀河研究センター 准教授)
野辺山45m電波望遠鏡を使った研究を1995年頃から開始。主に、複数の電波望遠鏡を同時に使って観測する方式(電波干渉法)を使って宇宙電波を観測。星が生まれた直後や星が寿命を終える直前でのみ見られる「宇宙メーザー」天体を中心に研究。HINOTORIプロジェクトは、これら天体を効率良く観測したいという思いから着想を得たもの。
講演概要
野辺山45m電波望遠鏡は、運用開始から40年を経てなお、色々なところで性能アップしています。宇宙からの電波は、望遠鏡主鏡を使って受けられ、電気信号に変換する装置(受信機)まで、
多くの反射鏡(アルミニウムの板)を使って導かれます。私たちのプロジェクトは、これら反射鏡のうち1枚、あるいは2枚について、多数の穴を開けた板(フィルター)に差し替えることにより、2台あるいは3台の受信機を同時に使って電波を受信する仕組みを開発しました。この仕組みを使って、異なる波長を持つ2種類あるいは3種類の電波を、同時に受信することができるようになりました。講演では、この新しい仕組みを完成させるまでのエピソードを中心に話をする予定です。
『星の最終進化始まりの兆候を発見』高校生・一般向け
講師紹介
甘田 渓(群馬県出身 鹿児島大学大学院博士後期課程の1年生)
専門は、電波天文学・恒星進化学。恒星はどのように進化してどのように最後を迎えるのかを調べるために、野辺山45望遠鏡や東アジアVLBI観測網などを使って終末星から放出された物質の観測を行っている。
講演概要
恒星は、その進化末期において太陽の数100倍にも膨張し、星表面から激しく物質を放出します。この物質放出は、一般的に10-30 km/sの速度で星を中心に等方的に行われますが、天の川銀河に存在する星々の中には、100 km/sを超えるカガスを双極方向へジェット状に噴出する天体が存在します。このような双極ジェットを噴出している天体のうち、水分子からの電波放射を用いて発見されている天体は「宇宙の噴水」天体と呼ばれ、15天体だけ発見されています。この15天体のうち1天体で、星の最終進化形である惑星状星雲に進化を始めた兆候と思われるものを見つけました。その兆候とはどのようなものであるかを紹介します。
『星を作るレシピ(大きな星の場合)』高校生・一般向け
講師紹介
立原 研悟(名古屋大学 准教授)
東京都出身。名古屋大学大学院博士課程修了。理学博士
マックスプランク・地球外物理学研究所、ドイツ・フリードリッヒ=シラー・イエナ大学、神戸大学研究員、国立天文台助教(合同アルマ観測所サイエンティスト)を経て、2013 年より現職。星形成や星間物質を観測的に研究している。名古屋大学においては NANTEN2 望遠鏡の運用や開発も指揮している。
講演概要
星の誕生の研究は、私たちの太陽系がどのように生まれたのかを知りたいという探究心から始まりました。ところが調べてみると、宇宙にはさまざまな重さの星が存在していることがわかります。銀河系のお隣、大マゼラン雲では、太陽の250倍もの重さの星が発見されていますが、誕生する星の重さは何によって決まるのか、実はまだよくわかっていないのです。今回は特に、質量の大きな星の誕生に関する仮説を紹介し、最近の観測による検証がどこまで進んだのかをお話しします。
『新受信機eQ : 超広帯域で実現する新しい電波天文学』高校生・一般向け
講師紹介
Ross A. Burns(国立天文台 特任研究員)
イギリス生まれ。鹿児島大学に留学し、博士号を取得。学生時代は野辺山への長期滞在を通して星形成領域の星間アンモニアガスを観測し、野辺山が好きになりました。専門は大質量星 (太陽の 8 倍より重い恒星) 形成。日本の電波天文学の将来のために重要な野辺山宇宙電波観測所が運用を続けられるよう応援したいと考えています。福岡出身ではないけれど、明太子が大好き。
講演概要
野辺山45m望遠鏡に、海外で開発された受信機が初めて搭載されました。名前は拡張Qバンド受信機 (eQ) で、世界で最も広帯域な30〜50GHz の電波を受信できます。これにより、とても遠い銀河や私たちの天の川銀河で星が生まれる場所にある、多数の星間分子を観測できるようになります。さらには、分子の周波数スペクトルを超高分解観測することにより、「ゼーマン分裂」効果を使用した星間ガスの磁場調査が進められる予定です。野辺山45m望遠鏡の大型パラボラアンテナと組み合わせることで、世界で最も感度の高いQバンド受信機となった eQ 受信機について、お話しします。
司会進行役紹介
午前の部
竹川 俊也(神奈川大学工学部 特別助教)
愛知県生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。博士(理学)。野辺山宇宙電波観測所特任研究員を経て2020年より現職。専門は天の川銀河(銀河系)中心。最近は特に、分子雲の運動を手がかりに"野良ブラックホール"を探し出す研究に力を入れている。子供の頃の夢は、たい焼き屋さんかたこ焼き屋さん。
午後の部
金子 紘之(上越教育大学 大学院学校教育研究科 特任助教)
東京都出身。総合研究大学院大学博士課程修了。筑波大学研究員、国立天文台野辺山宇宙電波観測所特任研究員を経て、2020年から上越教育大学特任助教(国立天文台アルマプロジェクトから出向)。野辺山45m電波望遠鏡やアルマ望遠鏡などを使って、形や色など銀河が多種多様な姿をしている理由を研究しています。