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研究者向け

国立天文台野辺山談話会 : NRO Colloquium

過去の談話会 (2006年度)

世話人:浅井歩, 梅本智文

2006/04/12

日時 2006/04/12 (水)
講演者 古屋玲 (国立天文台ハワイ観測所)
タイトル 原始星(ファーストコア)の誕生後、数1000年を捉えた
概要

2006/05/10

日時 2006/05/10 (水)
講演者 北條雅典 (国立天文台)
タイトル 「野辺山太陽電波観測所における電波環境」について
概要

2006/05/24

日時 2006/05/24 (水)
講演者 平下 博之 (筑波大学計算科学研究センター)
タイトル 遠方銀河のダスト形成史・スターバーストによる星間ガスの構造の進化
概要

2006/07/05

日時 2006/07/05 (水)
講演者 春日敏測 (国立天文台)
タイトル 流星群の分光観測
概要

2006/07/13

日時 2006/07/13 (水)
講演者 細川隆史 (国立天文台)
タイトル 電離領域膨張による誘発的分子雲形成とHI自己吸収
概要

2006/09/06

日時 2006/09/06 (水)
講演者 新田伸也 (電気通信大学/国立天文台)
タイトル 速いリコネクションから遅いリコネクションへの連続遷移と構造変化
概要

2006/11/22

日時 2006/11/22 (水)
講演者 永井誠 (東京大学)
タイトル 銀河系中心領域CO J=3-2輝線広域サーベイ
概要

2006/11/29

日時 2006/11/29 (水)
講演者 塚越崇 (総研大/国立天文台)
タイトル おおかみ座分子雲における古典的Tタウリ型星のサブミリ波分子輝線観測
概要

2006/12/06

日時 2006/12/06 (水)
講演者 磯貝瑞希 (国立天文台)
タイトル 偏光分光モニター観測に基づく共生星の軌道面傾斜角と質量の推定
概要

2006/12/13

日時 2006/12/13 (水)
講演者 出口修至 (国立天文台)
タイトル 一酸化珪素メーザーと矮小銀河
概要

2007/01/22

日時 2007/01/22 (月)
講演者 池田紀夫 (国立天文台/総研大)
タイトル 近傍巨大分子雲における分子雲コアサーベイ:IMFの起源について
概要

星の進化はその質量で決定するため、星の初期質量関数(IMF)の起源は、 天文学において重要な未解決問題の一つである。IMFの起源を明らかに する上で有用な方法の一つに、分子雲中の高密度領域であり、星形成の 直接の現場だと考えられている分子雲コアを研究することが挙げられる。 特に、コア質量関数(CMF)がIMFの形成に関して情報を持っていること が予想される。

我々は近傍巨大分子雲Orion A, Orion B, Cepheus OB3において、野辺山 45m鏡とBEARSにより、H13CO+(1-0)分子輝線を用いたマッピング 観測を行った。過去に無い広域、高分解能、高感度のデータから、 clumpfindを使いコア同定を行った結果、Orion Aで236個、 Orion Bで 98個、Cepheusで31個の高密度コアをカタログすることが出来た。 同定したコアの大多数は、3GMC間で共通の性質を示す。またいずれの コアもビリアル平衡にあり、将来星形成を起こすことが期待できる構造 である。

得られたH13CO+ CMFには、観測限界2 Msunに比べ十分大きい5-10 Msun にturnoverが存在するが、視線方向にコアが重なるshadowing効果を補正 することにより、このturnoverは消えて単一のベキ乗則で表されることが 分かった。さらに、二重星形成を考慮したモデルによりCMFからIMFを予想 すると、観測されているIMFと良く一致した。この事実は、IMFの起源を検証 することと、密度10^4-5 cm^-3程度のコア形成過程を明らかにすることは 同値であることを意味する。

2007/01/24

日時 2007/01/24 (水)
講演者 丹羽隆裕 (神戸大学)
タイトル 連鎖的星形成領域 W5-East のミリ波サーベイ観測
概要

分子雲が収縮し、星が形成されるプロセスは主に2つある。分子雲の収縮が主に 自己重力だけで進行する自発的星形成と、外的な要因が分子雲の圧縮を促す連鎖 的星形成である。連鎖的星形成は、大質量星だけでなく、近年では太陽質量程度 でも起きる事が確認されている。また、これらは多くがクラスターを伴う事か ら、星形成の重要な過程の一つであるといえる。我々は、HII領域での連鎖的星 形成に注目し、連鎖的星形成領域として知られるBright Rimmed Cloudが複数存 在する W5-East HII領域(以下、W5-East)全体について、45m鏡とBEARSを用い て、13CO, C18Oによるサーベイ観測を行った。その結果、可視のリムを伴う分子 雲のピークでの13CO柱密度が、リムを伴わない分子雲に比べて約2倍大きい事が 分かった。また、2MASS、IRASから選んだYSO候補天体の空間分布から、W5-East では、中心の励起星が形成したHII領域の膨張によって連鎖的星形成が進行して いることを確認した。また、BRCとしてカタログされていないが、W5-Eastに面し た部分に可視のリムを持ち、柱密度の特徴やYSO候補天体の分布がBRCと似た天体 を発見し、「BRC候補天体」として同定した。「BRC候補天体」は、W5-East起源 ではない、2次的な連鎖的星形成が疑われる兆候を示した。

2007/02/05

日時 2007/02/05 (月)
講演者 樋口あや (東京工業大学)
タイトル Survey of dense clumps associated with embedded clusters in C18O(1-0),H13CO+(1-0) molecular lines with the Nobeyama 45m telescope
概要

大質量星はクラスター内で形成されることが知られているので、大質量 星形成を理解するはクラスター形成領域に関する知見が不可欠である。 まだ若く(~1-3×10^6yr) 分子雲に埋もれているクラスターには大質量 (10^2-3Msun) で高密度 (10^4-5 cm-3) なクランプ (~1pc) がクラスター に付随しており、それらはクラスターの母体であると考えられている。 そのためクラスターの性質とクランプの物理量には関係があると思われ るが、これまで系統的に比較、検証した研究はない。  そこで我々は、 C18O(1-0)、H13CO+(1-0)輝線を用いて若く性質が 様々なクラスターに付随するクランプ観測を行い、その結果、サイズ: 0.2-1pc、質量:60-1800Msunという高密度クランプを同定した。C18O クランプはクラスター全体に、H13CO+クランプはクラスターとは外れて 分布するという傾向が見られた。導出された星形成効率 (SFE)はC18O輝線、 H13CO+輝線それぞれ、15%,30%程度であった。C18Oクランプの質量、 線幅はクラスター内の最大質量星質量と、サイズと線幅には比例関係が得ら れたがH13CO+クランプでは見られなかった。これらからC18Oクランプは クラスター形成初期の物理量(サイズ、線幅、質量)を維持していると考えら れる。

 以上から我々は、最大質量星は線幅の大きなコアからクラスター中心で 1Myr以内(~τff)に形成されるであろうという結論に至った。この事実を考 えると、これまで言われている様々な大質量星形成モデルの中で、低質量星 と同様な質量降着に基づく形成過程が適応できることを提案する。

2007/02/14

日時 2007/02/14 (水)
講演者 小麦真也 (東京大学)
タイトル 近傍銀河の分子ガスと星形成率
概要

我々の近傍(<数10Mpc)のDisk銀河には、よく知られているSchmidt (Kennicutt) Law という経験則が知られている。これはガス密度とその対応する領域での星形成 率の間には一つの指数法則が存在するというものである。この法則から星形成の物理 過程、銀河の進化を理解しようという試みが古くから続いてきた。

 しかし、これまでの研究ではSchmidt Lawの密度レンジが狭く、またサンプル数も 少なかったため、指数法則の形の不定性が大きかった。

 そこで我々は、密度レンジを広げる事でSchmidt Lawを精度よく決める研究を行っ てきた。トークでは簡単にレビューを行った後、我々が2000から2006年までに行っ たNMA、45m鏡、ASTEでのCO(J=1-0)やCO(J=3-2)輝線での近傍銀河中心部サー ベイを紹介する。 これまでの主な結果は、 1)極めて高密度の領域(~1000Msun/pc^2)でもSchmidt Lawが成立する 2)スターバースト銀河と「普通」の銀河を一つの指数法則で表す事はできない。 3)Barred銀河とnon-barred銀河ではSchmidt Lawは変化しない。 4)CO(J=1-0)よりもCO(J=3-2)輝線でトレースされるdense gasの方が星形成率と   相関がよい などである。

2007/02/19

日時 2007/02/19 (月)
講演者 幸田仁 (カリフォルニア工科大学)
タイトル ISM Evolution in Galactic Gas Dynamics
概要

2007/02/21

日時 2007/02/21 (水)
講演者 高橋智子 (国立天文台/総研大)
タイトル Millimeter and Submillimeter- wave Observations of the OMC-2/3 region
概要

We have performed millimeter-and submillimeter-wave survey observations using the Nobeyama millimeter array (NMA) and the Atacama Submillimeter Telescope Experiment (ASTE)in one of the nearest intermediate-mass (IM) star-forming regions ; Orion Molecular Cloud -2/3 (OMC-2/3).Using the high-resolution capabilities offered by the NMA (~ several arcsec),we observed dust continuum and H13CO+(1-0) emission in 12 pre- and proto-stellar candidates identified previously in single-dish millimeter observations. We unveiled the evolutionary changes with variations of the morphology and velocity structureof the dense envelopes traced by the H13CO+(1--0) emission. Furthermore, using the high-sensitivity capabilities offered by the ASTE, we searched for large-scale molecular outflows associated with these pre- and proto-stellar candidates observed with the NMA. As a result of the CO(3--2) observations, we detected six molecular outflows associated with the dense gas envelopes traced by H13CO+(1--0) and 3.3 mm continuum emission. The estimated CO outflow momentum increases with the evolutionary sequence from early to late type of the protostellar cores. We also found that the the 24 μm flux increases as the dense gas evolutionary sequence. We propose that the enhancement of the 24 μm flux is caused by the growth of the cavity (i.e. the CO outflow destroys the envelope) as the evolutionary sequence. Our results show that the dissipation of the dense gas envelope plays an essential role in the evolution of the IM protostars.

2007/02/23

日時 2007/02/23 (金)
講演者 坂井南美 (東京大学)
タイトル Complex Organic Molecules in Star Forming Regions
概要

 近年、小質量原始星からHCOOCH3などの大型有機分子、いわゆるホットコア分子が検出 され、大質量星形成領域と同様に高温・高密度な領域が形成され得ることがわかってきた。 我々は、小質量星形成領域における大型有機分子と原始星進化の関係を明らかにする目的で 代表的天体においてサーベイを行っている。これまでに、非常に若いClass 0原始星NGC1333 IRAS4BでHCOOCH3分子の検出に成功した他(Sakai et al. 2006, PASJ, 58, L15)、大質量 星形成領域NGC2264においても最も明るい赤外線源であるIRS1方向からは大型有機分子が 検出されなかったのに対してClass 0相当の大質量原始星を含むMMS3領域からHCOOCH3分子 を検出した(Sakai et al. 2007, ApJ, in press)。これらのことから、大型有機分子が原始星 進化のごく初期の段階に多く存在している可能性を示した。

 一方、昨年度の野辺山45 mを用いた小質量星形成領域の観測では、Class 0からClass I への 遷移天体であるといわれているL1527で厳しい上限を出し、大型有機分子の存在量が低いこと を示した(Sakai et al. 2007, Astrophysics and Space Science, submitted)。この原因として は、進化の進んだ天体で存在量が低くなっている可能性や、おうし座領域の特殊性などが考え られる。事実、ホットコア分子の観測の過程で、この天体から炭素鎖分子H2CCCCの高励起 輝線(J=10-9)がTMC-1を凌ぐ強度で検出された。また、GBTを用いた観測でも、C5HやC6Hなど 他の様々な炭素鎖分子が検出された(Sakai et al. in prep.)。これは、星形成領域であるにも かかわらず炭素鎖分子の存在量が低くなっていないという非常に特異な現象であり、星形成 領域の新しい化学を示しているかも知れない。

2007/02/28

日時 2007/02/28 (水)
講演者 佐藤友美 (放送大学)
タイトル 星形成領域の観測的研究: オリオンA分子雲コアの野辺山CS(1-0)サーベイの再検証
概要

2007/03/06

日時 2007/03/06 (火)
講演者 神鳥亮 (国立天文台)
タイトル 星なしコアFeSt1-457の磁場構造~背景星の赤外偏光観測による詳細マッピング~
概要

 分子雲コアスケールの磁場構造の測定は、コアの力学的安定性や収縮過程を 明らかにする上で重要である。これまで遠赤外・サブミリ波領域でのダスト 放射の偏光測定によりコアの磁場構造が調べられてきたが、放射強度 の弱い星なしコアのマッピングは困難であった。磁場構造に対するもう一つ のアプローチに、雲の背景星が受ける星間偏光から磁場の向きを推定する手 法がある。ダストに対する透過力の高い近赤外域で広視野・高感度の偏光観 測を行えば、多くの測定点に基づきコアの磁場構造を細かく調べられると考 えられる。

 そこで我々は、南アフリカで運用中の広視野かつ高感度の近赤外3色同時偏光 撮像装置IRSF/SIRPOLを用いて、近傍の星なしコアFeSt 1-457の観測を 行った。解析の結果、コアの背後に分布する多数(250個以上)の星の方向で 磁場の向きが求められ、「砂時計型」に歪んだ磁力線がコアを貫いていること がわかった。これは、星なしコアにおいて初めて「重力収縮の影響を受けて 歪められた磁場構造」を捉えた結果であると考えられる。講演では磁場強度の 推定方法についても紹介したい。

2007/03/07

日時 2007/03/07 (水)
講演者 佐川英夫 (東京大学/宇宙研)
タイトル 野辺山ミリ波干渉計を利用した金星大気の観測
概要

 金星は,厚いCO2大気(高度100km以上まで中性大気が存在)を持ち,高度50-70km にかけてはH2SO4液滴の雲が全球を覆っている.金星大気中には高速の西向き帯 状流(スーパーローテーション)が存在することが知られているが,この高速帯状 流の加速機構を始めとして多くの気象学的問題が未解明なままである.これは, 雲が光学的に不透明であり,雲頂(高度70km付近)より下層の大気の観測が大きく 制限されてきた為である. この問題を解決する効果的な観測手法としては,干渉計を利用したミリ波での高 空間分解観測が挙げられる.ミリ波領域においては,金星大気の透過率が可視・ 赤外領域よりも増大し,雲層以下の高度からの熱放射を観測できる.過去にde Paterら(1991)が波長3mm帯で観測を行なった際には,金星夜面の輝度温度が昼面 よりも10%程度高いという非一様性分布が示された.この波長帯においては, CO2,SO2,H2SO4と雲が吸収効果を及ぼすが,de Paterらはミリ波輝度温度の非 一様性を,雲の濃淡分布に起因したものと解釈した.しかし,その後,Fahdら (1991,1992)によってミリ波領域における雲の吸収係数が測定された結果,前述 のde Paterらの観測結果は雲の分布だけでは説明できないことが言及された. 本研究では,波長3mm帯での輝度温度非一様性分布を物理的に解釈することを目 的として,野辺山ミリ波干渉計(NMA)を利用した金星イメージング観測を行なっ た.NMAでの観測日と同日に近赤外波長で撮像される金星雲画像を取得し,それ らを3mm帯での輝度温度分布と比較した結果,両者の空間構造に強い相関関係は 見られなかった.また,各吸収物質の輝度温度に対する影響を放射輸送モデルか ら見積もった結果からは,雲による輝度温度の低下が3K程度なのに対して,SO2 やH2SO4の影響はそれぞれ30K程度であることが示された.これらの観測的および 理論的考察をもとに,波長3mm帯で観測される輝度温度の非一様性は,雲の分布 よりも,SO2およびH2SO4の空間分布を反映していると結論した.

 一方,高分散分光を行なうと,波長2.6mmでは金星上層に存在するCO(1-0)の吸収 線が観測される.このCO吸収線は,その場での風によるドップラーシフトを生じ ており,このドップラーシフトを全球でマッピングすることで高度100km付近で の風の場を可視化できる.この観測方法は,金星の大気力学を直接的に明らかに する有力な手法と言える.本研究では,全球的に昼から夜に吹く風の場を導出し, その風速の時間的・空間的変動性を考察した.

2007/03/26

日時 2007/03/26 (水)
講演者 三浦理絵 (東京大学/国立天文台ALMA)
タイトル M33巨大HII領域NGC604における高密度ガスおよび大質量星形成
概要

2007/03/26

日時 2007/03/26 (水)
講演者 坪井昌人 (国立天文台野辺山)
タイトル 地上電波天文学から『宇宙』電波天文学へ
概要