CSV 観測貢献プログラム

概要:

野辺山宇宙電波観測所の現状のリソースにて、最大限の 45m 観測時間 (~3000時間/年) の提供を維持するべく、45m 望遠鏡の CSV 観測に貢献してくださる方 (CSV貢献者) を募集します。また、初心者の方がアンテナ操作や望遠鏡性能測定の原理を学ぶ良い機会でもありますので、未経験の方の応募も歓迎いたします。

  • CSVとは?: Commissioning and Science Verification (立ち上げと科学性能評価) の略です。観測シーズンが始まる前に、そのシーズンの科学観測の精度を保証するために、アンテナと受信機の性能に変化(主に劣化)が無いかを測定します。通常、機器の性能を測定するには測定用の機材を用いますが、その場合、測定精度は一般的に測定機材や測定系の精度に制限されます。非常に精密な装置である巨大アンテナや高感度受信機の総合性能を、機材を用いて科学観測に必要な水準の精度で計測するのは困難です。 CSV では、測定器の代わりとして基準天体を観測することで装置性能を測ります。そのため、 CSV 観測と呼ばれることもあります。
プログラム概要:
  • 背景:
    • 野辺山宇宙電波観測所の人員は、2024 年 7 月時点で、研究教育系 2 名、技術系 5 名であり、今後、定年退職による人員減が想定されます。
    • 冬季の科学観測時間を最大限提供するため、また、装置開発者に十分な開発時間を提供するために、近年は、9 月から 45m 鏡の供用を行っております。これにより、夏季のメンテナンス時間が従来(共同利用時代)より短くなっており、夏季メンテナンス(日中)と CSV (夜間)が同時並行で走るため、観測所所員への負荷が高まっています。
  • 制度:
    • 観測所 CSV に貢献いただける方 (CSV貢献者) を募集します。
    • CSV 貢献者は科学観測も行っていただきます。
    • 1 晩の貢献により、4 時間の科学観測時間を提供いたします。(詳細は、下記「割当について」を参照)
    • 今年度は日本国内に限定した募集となります。
  • CSV 観測の実施体制:
    • 観測時間は、18:00(予定)-翌日2:00頃(予定)です。
    • 観測時期は、9/13-10/31 です。
      • 詳細は、45mスケジュール をご確認ください(NRO CSV と書かれている場所です)。スケジュール表の見方:横軸は LST (Local Sidereal Time) です。LST は JST と 1 日あたり 4 分ずつズレます。左と右に JST 日付を記載していますが、日付が異なるのでご注意ください。斜めの線は、オレンジが JST=0h (つまり、日付変更線)、黒は、JST=6h, 12h, 18h です。
    • CSV 貢献者はリモートでご参加いただけます。
    • CSV 観測は、野辺山所員(現地)と CSV 貢献者の2人1組で実施します。
    • CSV 貢献者には、望遠鏡操作と、安全管理を担っていただきます。
  • CSV 観測の内容:
    • 主には、Squint 測定と、Efficiency (能率)測定の2種類です。
    • Squint 測定:各受信機(FOREST, Z45など)のポインティングを測定し、ズレている場合、器差パラメータを補正します。45m 鏡では、まず初めに、H40 受信機でポインティングを合わせます。Squint 測定では、H40 と他の受信機のポインティング誤差を計測することで、各受信機のポインティング精度を評価します。基本的には、ビーム伝送系や受信機が物理的に動かなければ、前年から変化しません。
    • Efficiency 測定:受信機毎のアンテナ能率(開口能率、主ビーム能率)を測定します。開口能率は点源に対する感度、主ビーム能率はある程度(主ビーム程度)広がった天体に対する感度で、観測で得られるアンテナ温度から輝度に換算する際に用いられる重要なパラメータです。輝度分布が既知の天体(主に惑星の連続波)を観測することで評価します。45m 鏡では、観測のセットアップに現地作業が必要ですが、野辺山所員が対応します。主鏡パネルの設置精度が悪化したり、ビーム伝送系が動いたり受信機性能が悪化しない限りは、前年と同様の値が得られることが期待されます。
  • 注意事項:
    • CSV 観測は、ご自身の科学観測の一環としての実施となります。野辺山宇宙電波観測所からは、謝金、旅費などは出ません。また、労務管理(勤務時間や夜間勤務などの管理)や、安全管理(夜間勤務後の帰宅の安全確保など)は、ご自身の所属機関の規定に乗っ取り実施していただくこととなり、野辺山宇宙電波観測所は責任を負いませんのでご承知おきください。学生の方は、指導教員と相談の上お申し込みください (CSV観測への教員の立ち会いや、事前の指導は不要です)。
    • 科学観測の内容について、科学審査は行いません。
  • 割当について:
    • 今年度は 24 晩の募集となります。
    • 申し込み多数の場合、均等に削減しての割り当てとなります。ご自身の科学観測を達成する上で最低限必要な時間がある場合、申込書の中の、希望最低日数をご記入ください。希望最低日数を下回る割当しかできない場合、申込はキャンセルとさせていただきます。
    • 24 件を超える申し込みがあった場合、先着順とし、最初の 24 件に 1 晩ずつ割当ます。
    • Regular プログラム(有料)へも同時に応募される方で、CSV 貢献により得られた時間の分だけ、Regular 時間を減らしたい希望のある方は、その旨、CSV 観測貢献プログラムの申込書内でご記入ください。(つまり、Regular時間+CSV貢献時間の合計を一定とされたい場合)
    • 科学観測時間の割当は、Regular プログラムを優先とし、CSV 貢献時間の割当は第二優先度となりますのでご了承ください。
  • 申込方法:
  • 問合せ先:ヘルプデスク へお問合せください(日本語OKです)。
申込後の流れ:
  • 観測所にて、割当を実施します。
  • 1-2 週間程度で、割当結果を PI 宛にメールでお知らせします。
  • 8 月後半にリモート接続テストを実施しますのでご参加ください。
  • 野辺山へ出張して観測を行う場合